高石あかりの「怪談語り」が上手すぎる!“プロっぽくなくていい”はずなのに…才能がコワい〈ばけばけ第120回〉

トキ、怪談収集に励む

 主題歌明けは、プロジェクト『怪談』。これまでトキからいろいろな怪談を聞かせてもらってきたヘブンだが、本にするための新しい怪談が必要だ。トキが東京中を回って怪談をかき集める。つまり、トキがついに念願のリテラリーアシスタントになったのだ。怪談を話して聞かせてくれるのは、年配の方々だ。そこに注目したい。

 この頃、怪談を集めることは、昔の話を聞くこと。その人がいなくなったら消えてしまうかもしれない、言い伝えられてきたことだ。消えてしまいそうな民衆の声を聞くことだ。

 夜、ロウソクの火がともる。

 厳かな雰囲気のなかで、トキが怪談をヘブンに語る。

「いやああ」とトキは叫び方がうまい。

 子どもたちがそれを部屋の外からこっそり見ていて「こわい」「ママが」とおびえている。怪談がこわいのではなく、母親がこわい。

 高石あかり、語りが上達している。プロっぽくなくていい、自分の言葉で語るように求められていたと聞くが、巧(うま)いものは仕方ない。巧いのは彼女の個性ということだろう。「すばらしい」と感動するヘブン。

「もういっぺんネガイマス」

 昔に戻ったように、楽しそうなふたり。

 日に日に衝立(ついたて)にメモが増えて、怪談が増えていく。

 トキは和室に敷いた絨毯(じゅうたん)の上で本を整理している。

 ヘブンはのっぺらぼうの絵を描く。

 トキも絵を描く。ふたりの絵が並んでいく。

 どんどん怪談が増えていく。イラストが増えていく。

「ろくろ首」
「雪女」
「葬られた秘密」……

 迫真のトキの語り、真剣に聞くヘブン。

 衝立がどんどんメモで埋まっていく。

 そのうち、演劇的になって、ふたりで演じる。

「開門」トキが襖(ふすま)を開けると、

 ヘブンが芳一を演じている。振り向いた顔に文字がびっしり書いてあって、トキが慄(おのの)く。

「耳なし芳一」の誕生だ。

 こわいけど、楽しい。そんなふたりを庭から蛇と蛙が見ている。

 多分、ふたりの人生のなかで、最も幸せな時期であろう。