120話待って12分で完成した『怪談』

 西向きの庭で、子どもたちがシャボン玉を吹いている。

 丈(杉田雷麟)が来たが、ヘブンは顔を出さない。

 なにかに取り憑(つ)かれたように書いているのだ。

 するとほら貝が鳴った。たばこが吸いたいという合図らしい。トキが部屋をのぞくと、原稿が完成していた。

「パパさーん」「ママさーん」大騒ぎ。

 みんなも集まってくる。

「書けたの、わたしが読める本、書けたの」

 書けちゃった怪談。わずか12分で『怪談』を書こうと思いつき、書いてしまった。

「よかったのう昔のわし」とこのときはちゃんとアップになる司之介(第119回では「昔のわし」のときは司之介にピントが来ていなかった)。「終わっとらん人間じゃ」とヘブンを抱きしめる。

 庭では、いつの間にか、シャボン玉ではなく、お祝いの花吹雪のような花びらが舞っている。

 机の上にはトキの作ったブードゥー人形。おまじないが効いたようだ。

 だが、そうは簡単にはいかなかった。

 さっそくイライザに原稿を送るヘブン。

「私の最後の作品が書けたよ。ベストセラーになるといいが、とにかく今はすがすがしい気持ちだ」と手紙もつけて。

 イライザが1枚めくる。2枚、めくる。

 ノーと、がっくり肩を落とす。

「なぜ最後にこんな幼稚な?なぜ?」

 2ページ見ただけで幼稚さがわかってしまうものであろうか。

「昔、○○に××という人物が住んでいた」というようなはじまりの作品が多いから、「ロングロングアゴー」ではじまる西洋の童話のような先入観があるのかもしれない。

 たった12分で『怪談』が生まれ、3分後には、「幼稚」と否定される。

 我々視聴者が名作と思い込んでいた作品がこのような扱いとは……。

 最終週の予告では、「ヘブンさーーん」と呼ぶ声がいくつも重なる。このままヘブンさんは逝ってしまうのか。

高石あかりの「怪談語り」が上手すぎる!“プロっぽくなくていい”はずなのに…才能がコワい〈ばけばけ第120回〉
高石あかりの「怪談語り」が上手すぎる!“プロっぽくなくていい”はずなのに…才能がコワい〈ばけばけ第120回〉