基本的に、「やる気がでないから、練習できない」というのは、やる気がでないという「原因」があって、そのせいで練習できないという「結果」が生じているとする考え方です。この考え方に従うなら、やる気がでないという原因を生みだしている「根本の問題」を探して、それを取り除きさえすればやる気がでて練習に打ち込めるはずです。
ところが、そのような考え方ではうまくいかないことがほとんどです。それは一体、なぜなのでしょうか。このことを、投打の「二刀流」で大活躍するメジャーリーガー・大谷翔平選手を例にして、考えてみたいと思います。
「やる気が出ない」は
困難や挑戦の回避が目的?
花巻東高校時代に、大谷選手は「球速160キロを目標にする」ことを野球部の監督から提案されました。当初、大谷選手は、「無理なんじゃないか」(『不可能を可能にする大谷翔平120の思考』)と考えたそうです。理想の自分や人生、夢や目標は、一朝一夕に実現できるものではなく、いくつもの困難の克服や挑戦を伴います。時には、「達成することは無理かもしれない」「乗り越えることはできないかもしれない」と感じて、その高くそびえ立つ課題を前に立ち止まってしまうこともあるでしょう。
その際に、絶対に乗り越えるのだという強い意志を持って進める人は、それで良いと思います。けれども、失敗したくない、評価を下げたくないという気持ちが強いと、人は意識的であれ無意識的であれ、困難や挑戦と向きあうのを回避しようとすることがあります。
なぜなら、努力が実らず失敗に終わった場合に、自分の能力のなさに直面したり、他者からの評価が下がったりすれば、自尊感情やプライド、こんな人間でありたいという理想の自分などが脅かされかねないからです。そして、そのような状況を回避するという「目的」を達成するために、選択された「結果」の産物が「やる気がでない」という状態なのです。







