歴史に学ぶリーダーの資質
「諫言」を受け入れる度量
リーダーは、最終的な決断を自らの責任で下さなければなりません。しかし同時に、その判断を支えてくれる有能な補佐役をそばに置くことも、リーダーに求められる重要な能力の一つです。
時には、その補佐役がリーダーの意見を真っ向から否定することもあるでしょう。自分の判断を否定するような「諫言(主君や上司の誤った言動や過失を指摘し、改めるよう忠告すること)」は、たとえリーダーであっても耳が痛く、不快に感じるものです。
しかし古くから、組織にとって正しいことであれば、こうした諫言を受け入れることこそがリーダーの重要な資質だと考えられてきました。
中国古典の名著『貞観政要(じょうがんせいよう)』には、唐王朝の名君とうたわれた太宗が、家臣たちの諫言を受け入れることで優れた政治を実現した姿が描かれています。『貞観政要』は日本でも広く読まれ、徳川家康や明治天皇にも愛読されて、彼らのリーダーシップに大きな影響を与えました。
耳の痛い言葉こそ、リーダーを救う
ニコライ2世の場合、ウィッテのように実務能力と先見性を兼ね備えた人材の諫言を受け入れず、遠ざけてしまいました。その結果、やがて彼は「誰の意見も聞かない孤独なリーダー」となり、歴史の荒波にのまれていくことになります。
「有能な補佐役」が失われたとき、リーダーは孤立してしまいます。耳の痛い諫言にこそ、リーダーが最もそばに置くべき真実が隠されているのかもしれません。
※本稿は『リーダーは世界史に学べ』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。















