両親の不仲に悩む小学生の娘写真はイメージです Photo:PIXTA

「家族を愛すべきなのに愛せない」と悩み、苦しんでいる人は少なくない。家族に抱く怒りや失望は、愛の欠如からくるものなのか。実例を交えながら、家族を愛することについて紐解く。※本稿は、精神保健指定医の精神科医Tomy『愛の処方箋』(光文社)の一部を抜粋・編集したものです。記事中の事例はすべて仮名であり、事実を元にしたフィクションです。

選ぶことのできない家族は
愛すべき存在なのか?

 本稿では家族の愛について考えていきたいと思います。厳密に言うと「夫婦」は家族ですが、夫婦はパートナーシップに入りますので、ここでは夫婦以外の家族について見ていきます。

 さて、家族の場合、パートナーシップとは違い「関係を解消できない」という特徴があります。そして、原則として家族を選ぶことはできません。すると家族の「愛」の悩みとは、「愛すべきなのに愛せない」という類のものになります。

 しかし、ここで敢えて言いたいのです。

 家族を愛せなくて、何の問題があるのでしょうか?と。

 他人を愛するのは、自分の気持ちです。その他人が自由に選べるという前提です。なのに、夫婦以外の家族は選ぶことができない。自然と愛が湧くのであればそれでいいのです。でも愛さなくてはいけないのでしょうか。

 愛の基本は自己愛であり、自分のありのままを受け止めることにあります。そこで、「家族を愛せない」という気持ちがあるのなら、それはそのまま受け止めて良いのではないでしょうか。そうでなければ、愛の基本である「自己愛」が成り立たず、結果として家族への「愛」も持ち得ないのです。