武田薬品 「破壊と創造」最終章Photo:PIXTA

武田薬品工業のクリストフ・ウェバー社長CEO(最高経営責任者)は、2026年6月の定時株主総会をもって退任することを表明している。外部から招聘(しょうへい)され、14年に社長COO(最高執行責任者)、15年に現職となってから約10年。ウェバー氏は武田薬品に何をもたらしたのか。連載『武田薬品 「破壊と創造」最終章』の本稿では、武田薬品と国内競合4社(大塚ホールディングス、アステラス製薬、第一三共、中外製薬)の時価総額と「経営トップの報酬」の関係を比較した。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

武田薬品工業の時価総額
15年度末4兆円→24年度末7兆円

 メガファーマ(巨大製薬会社)の一角を占める英グラクソ・スミスクライン(GSK)幹部職を経て、クリストフ・ウェバー氏が武田薬品工業COO(最高執行責任者)として入社したのは2014年4月。同年6月には社長COOとなった。江戸時代に創業し、国内最大手の製薬会社である武田薬品にとって初の外国人社長であったことから、業界に衝撃が走った。

 さらにウェバー氏は翌15年4月、社長CEO(最高経営責任者)へ昇格。今日まで武田薬品のトップとして大変革をリードし、25年3月末の時価総額は約7兆円と、CEO就任時の16年3月期(末)の同約4兆円から、実に約3兆円も時価総額をアップさせた。

 その一方で、25年3月期の報酬が21億円超となるなど、ウェバー氏の高額報酬を批判する声は常にある。ちなみに同期間に、第一三共は約5兆円、中外製薬に至っては約9.5兆円も時価総額を上げている。

 経営トップに求められる重要な役割の一つが、株価の上昇、ひいては時価総額の上昇であることに異論はないだろう。では、経営トップのコストパフォーマンスという視点で見ればどうなるか。そこで、経営トップのコスパを「時価総額上昇分÷歴代CEO報酬総額」と仮定し、本稿執筆時点で製薬業界の時価総額トップ5に入る武田薬品、大塚ホールディングス(HD)、アステラス製薬、第一三共、中外製薬について独自試算してみた。