NHKの常識を破った「30秒の無音」、高石あかりの“決意”を揺さぶった異例の演出〈ばけばけ第122回〉『ばけばけ』第122回より 写真提供:NHK

今日の朝ドラ見た? 日常の話題のひとつに最適な朝ドラ(連続テレビ小説)に関する著書を2冊上梓し、毎日レビューを続けて10年超えの著者による「読んだらもっと朝ドラが見たくなる」「誰かと話したくなる」連載です。本日は、第122回(2026年3月24日放送)の「ばけばけ」レビューです。(ライター 木俣 冬)

秋に咲く桜は不吉の知らせ

 庭で勘太と勲がスキップしている。どうやら勘太はヘブン(トミー・バストウ)に似て、英語の覚えも早いし、スキップの才能もあるようだ。勲はトキ(高石あかり、「高」の表記は、正確には「はしごだか」)に似たのかスキップの才能がやや発展途上。

 ヘブンは英語で「勘太、すばらしい!勲、ガンバレ!」とふたりを応援している。

 庭には桜の木があって、そこに花が咲いていることにクマ(夏目透羽)が気づいた。

 季節は秋。

「返り咲きですたい。不吉の知らせて言いますけん、なんもなかならよかですが」

 クマはちょっと心配そうだ。

 こんな言い伝えを知っているなら、あのとき(呪いの人形の週)話せばよかったのにと思う視聴者もいるだろう。だが、もう最終週なのだ。何も言わずに見守ろうではないか。

「かわいそうに。これから寒くなるっていうのに」

 ヘブンは桜に英語で語りかける。

「ハロー、アエテウレシイ」

 桜の花が風に舞い、その向かった先には、トキがいる。

「アエテウレシイ」はトキへの気持ちになる。

 ここで「ばけばけ」のタイトルが入って、というドラマチックな演出。

 楽しい家族の食卓。『ばけばけ』おなじみのしじみ汁を飲んで、ヘブンは「あー」と嘆息。

 トキもフミ(池脇千鶴)も勘太も勲も「あー」。

 相変わらず、司之介(岡部たかし)はそれをとがめる。とがめる人が増えてやりがいも増えたことであろう。

 ここで、脚本家ふじきみつ彦の「あー」への思いを紹介しよう。