吉沢亮と共演「すごく新鮮で楽しかった」、弟役・杉田雷麟が感じた“不思議な空気”が流れた瞬間〈ばけばけ第121回〉『ばけばけ』第121回より 写真提供:NHK

今日の朝ドラ見た? 日常の話題のひとつに最適な朝ドラ(連続テレビ小説)に関する著書を2冊上梓し、毎日レビューを続けて10年超えの著者による「読んだらもっと朝ドラが見たくなる」「誰かと話したくなる」連載です。本日は、第121回(2026年3月23日放送)の「ばけばけ」レビューです。(ライター 木俣 冬)

妻はゴーストライター

 いよいよ最終週「ウラメシ、ケド、スバラシ。」(演出:村橋直樹)。先週の終わり、やっと『怪談』の原稿が完成したものの、受け取った海の向こうのイライザ(シャーロット・ケイト・フォックス)の反応は「幼稚」だった。

 それから数カ月経って、ヘブン宅に大きな荷物が届く(カメラの横移動でクマが大きな荷物を持ってくるところを見せるこだわり)。例によって何だろうとわちゃわちゃ。もういい加減、見本だって学習したまえ。まあ、そんなお約束も今週かぎり。ということで、中身は『KWAIDAN』だった。

「パパとママで書いた本?」と勘太。

「YES!フタリノホン!イチバンハ、ママサンニ」とヘブン(トミー・バストウ)はトキ(高石あかり、「高」の表記は、正確には「はしごだか」)に手渡す。

 結婚式のケーキ入刀を夫婦はじめての共同作業というが、この本こそトキとヘブンのはじめての共同作業。この『ばけばけ』の英語タイトル、THE GHOST WRITER’S WIFE(ゴーストライターの妻) となったのだ。

 ヘブンはイライザからの手紙を読む。たぶん、あまりいいことが書いていないのだろう。だが、ヘブンはトキたちに人気で売れていると手紙に書いてあると言う。

 よし、今夜は出版パーティーだ!と盛り上がる一同。ひとりだけ曇った顔のヘブン。

 最終週なのに、どうなってしまうのか、と心配になりながら主題歌。

 主題歌明け。居間ではヘブンの焼いたビフテキが振る舞われている。クマ(夏目透羽)もご相伴に預かっている。そういえば、史実ではヘブンが首になった帝大に夏目漱石がいるはずだが、クマ役の俳優の名は夏目透羽であった。

 司之介(岡部たかし)は「乳を飲み、肉を食らう。牛にとったら人間ほど憎い奴らはおらんかもしれんのぅ」としみじみ。何かいいこと言っているようで、言っていないような、いや、なかなか深い。

 人間は貧しくなったり、立場が低くなったりすることを憂うが、牛なんて人間に食べられてしまうのだ。なんぼか理不尽なことか。こういう悟りみたいな感じはいまにはじまったことでなく『ばけばけ』にはずっとあった気がする。

 この語りの場面、テーブルが横一で「最後の晩餐」のような「家族ゲーム」のような。