朝ドラ史上、最も残酷なラスト!?10年以上の毎日レビューで気付いた「ばけばけの異質さ」〈ばけばけ第124回〉

「あのころの私は、気づいておりませんでした」

 クマ(夏目透羽)が熊本の思い出は?と言うと、ヘブンは熊本が嫌いだったとトキはヒステリックに返す。クマがかわいそうで、ますますトキの印象が悪くなる。

 そうはいっても子どももふたりも生まれて幸せな生活を過ごしてきたではないかと、口々に説得されたトキは、過去を思い出すことにした。

 出会いは明治23年(1890年)の夏――。よく年を覚えているなあ。

「出会った頃のヘブンさんは、自由で、何をするか分からん愉快な人で、そげな人を縛りつけてしまったのは、この私でした」

 しかし、出てくるのはやっぱり懺悔(ざんげ)の言葉ばかり。

 東京に来たのも、トキの希望をかなえたためで、本人は気が進まなかった。

 トキは思い出す。帝大にはじめて出勤する日、日本を愛するヘブンは和装で行こうとしたが、トキが洋装で行くように押し付けたことを。学生は異人の先生にあこがれているのだから、がっかりさせてはいけない、すてきな洋装で行くべきだと考えたのだ。

「あの日は、ずっと不機嫌だった」と車夫の村中が言っていたと、いまになって、ヘブンがなぜ不機嫌だったかトキは気付いた。

「あのころの私は、気づいちょりませんでした。私があの人を縛りつけちょるということを……」

 浮かない顔のトキで、つづく!

 あと1回しかないのに、主人公の反省回であることに驚いた。そう、反省回は反省会。近年の朝ドラはSNSで #「タイトル」反省会 でドラマ批評する習慣が根付いているので、ドラマ自ら反省会してみたという『ばけばけ』スタッフの遊び心であろうか。

 朝ドラを11年、毎日レビューしている筆者としてはとても興味深い事例に出合えてうれしい。だが一般視聴者としてはこれはどうであろうか。ただ、泣いても笑ってもあと1回なので、最終回前の1回は何をしても自由な回であるとは言えるだろう。