朝ドラ史上、最も残酷なラスト!?10年以上の毎日レビューで気付いた「ばけばけの異質さ」〈ばけばけ第124回〉

「ラス前が最終回でも良かった」作品も

 主人公がくよくよするラス前もあった。先日スピンオフも放送され映画化も決定、社会現象にもなった大ヒット朝ドラ『虎に翼』(24年度前期)だ。

 主人公・寅子(伊藤沙莉)が過去を振り返ってくよくよするのだが、それだけではないエピソードが詰め詰めで濃密だった。これまで登場してきた登場人物がたくさん出てきて、半年見てきた著者へのご褒美のような回に視聴者も大満足。

 亡くなった夫・優三(仲野太賀)がイマジナリー優三として、唐突に、寅子が横浜家庭裁判所の所長に出世、女性で初めて家庭裁判所の所長になった祝いに家族で宴会。もうひとりのヒロインのような、専業主婦の花江(森田望智)の人生振り返り。学生時代のたまり場・甘味処笹竹で女子部集合。寅子の恩師・桂場(松山ケンイチ)も登場し寅子といい掛け合いをする。

 ラス前が最終回でもよかったのは、昭和の大スター笠置シヅ子をモデルにして毎週のように歌と踊りのシーンがあった『ブギウギ』(23年度後期)。しっかりと主人公スズ子(趣里)の歩みを描いてきた。モデルの功績を十分楽しめたわけだが、主人公の一代記的なドラマの難しさは晩年がどうしても勢いが落ちることだ。

 だが、丁寧に人生を積み重ねてきたドラマは主人公が老いてもドラマティック。関係性がこじれていた恩師である羽鳥(草彅剛)と腹を割って話すエピソードが趣里と草彅剛の演技で見応えをもたらした。むしろ、最終回のほうがほのぼのしすぎて気が抜けた印象であった。