一番バランスが良かった「ラス前」は…

 最もバランスが良かったのは植物学者・牧野富太郎をモデルにした『らんまん』(23年度前期)だろうか。万太郎(神木隆之介)と伴走してきた妻・寿恵子(浜辺美波)が病にかかり余命わずかとなり、彼女が生きている間に図鑑を完成させようと、万太郎はたくさんの人達に協力を得て奮闘する。

 体調が悪いなか、おにぎりづくりを手伝い、研究の一員になれたようだからという寿恵子。偉人の妻として影に隠れがちな人物が、しっかり夫の仕事に寄与していたことを描いた、近年の朝ドラでは好感度の高い物語だった。

 これまでの登場人物だけで十分感動的ななか、なぜか突然、ムロツヨシがゲスト出演したのが謎だが話題づくりにはなった。

 大阪万博に合わせ、空飛ぶクルマを出してきた近未来朝ドラ『舞いあがれ!』(22年度後期)は2020年から2027年に一気に時間が飛んだ。主人公・舞(福原遥)はパイロットになるのが夢だったがいろいろあって実業家に。

 飛行機部品を作る事業に着手し、空飛ぶクルマが完成。舞がそれに乗ることに。最終回は夢だったパイロットだ!という期待をもたせてつづくとなった。

 このようにざっと近年の朝ドラのラス前を振り返ってみたが、やっぱりトキほどくよくよしたまま最終回に続くものはない。あとはモデルの小泉セツの著『思ひ出の記』を書くのみで、ハッピーエンドであるのはわかっているが……。

 高石あかりはインタビューで「『思ひ出の記』を書いていて、それに気づいたトキは一気に自分への恨めしさが募っていきます。そこは最も残酷で、『ばけばけ』らしいと思いました」と語っている。

 朝ドラ史上、「最も残酷」なラス前であるということだろう。どうなる最終回!

朝ドラ史上、最も残酷なラスト!?10年以上の毎日レビューで気付いた「ばけばけの異質さ」〈ばけばけ第124回〉
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