モルトを主原料とする点ではビールに近いが、蒸留の過程を経るのが大きな違い。また、原料の穀物は大麦だけに限らず、ライ麦やトウモロコシを用いることも多い。

 ユニークなところでは、蕎麦の実(バックウィート)を使ったウイスキーがフランスのブルターニュ地方に見られる。ブルターニュ地方といえば蕎麦粉を原料とするガレット発祥の地であるから、これもお国柄の表れだろう。

「3年以上の熟成期間が必要」が
価格高騰と品薄の要因に

 ところで、たびたび価格の高騰が話題にあがるジャパニーズウイスキーだが、その理由のひとつは、世界的な人気により品薄状態が慢性化していることにある。

 日本洋酒酒造組合が定めたジャパニーズウイスキーの定義として、3年以上の熟成期間が必要であるため、急な量産に対応しにくいのも、品薄に陥る要因だろう。人気の集中する商品は、10年、12年の熟成期間を要するものであるから尚更だ。

 ちなみに日本における市場の推移を見ると、戦後の経済成長と共にウイスキーの生産量、消費量は右肩上がりを続け、1983年にピークを迎える。この年、国内での消費量は実に約38万キロリットルに達している(※ただし、当時の分類によりおよそ1割はブランデーが占める)。

 その後、バブル経済の崩壊がダウントレンドに拍車をかけ、さらには日本酒人気、ワイン人気の煽りを受けてウイスキーの消費量は急速に低下。2008年の消費量は約7万5000キロリットルと、ピーク時の5分の1にまで市場は縮小してしまう。

 しかしその背景で、今日のブームに繋がる下地がしっかりと醸成されていたことは見逃せない。

 一例を挙げれば、2003年の世界的なコンペティション「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ」において、「山崎12年」が金賞を受賞。翌年の同コンペティションでも「響21年」が金賞を、「響30年」がISCトロフィー(最高賞)を受賞するなど、ジャパニーズウイスキーの品質が認められ始めたのだ。

「ウイスキーはどうも苦手で…」とハイボールを飲む人が知らない、ウイスキーの基礎知識熟成期間を置くことで、ウイスキーは風味を増す。 Photo by Satoshi Tomokiyo