不眠の背景に隠れる「別の病気」
不眠症は簡単に落ち着くことも多い一方で、その背景にうつ病などの精神疾患が隠れている場合も少なくありません。その場合、ご本人は「ただの不眠」だと思っていても、実はしっかり休職が必要だったり、抗うつ薬の服用が必要だったりします。
精神科であれば、うつ病の薬で眠気を促すものを使い、睡眠薬を使わずに不眠とうつ病を同時に改善させることも可能です。内科で睡眠薬だけをもらっていると、こうした根本的な原因を見逃されてしまうリスクがあります。
精神科でも対応しきれない睡眠障害のケース
とはいえ、精神科に行けばすべてが解決するわけでもありません。
● ナルコレプシーなど: 突然眠り込んでしまうような特殊な睡眠障害の場合は、脳波を調べる専門的な検査が必要になるため、大学病院などの睡眠障害専門外来を紹介します。
このように、睡眠障害と一口に言っても非常に奥が深く、一つの科でオールマイティーに診られるわけではありません。だからこそ、「睡眠障害」を掲げる科ができることで、そうした窓口が一つに統合され、より適切な医療につながりやすくなるのではないかと期待しています。
高齢者の不眠と「睡眠衛生指導」
例えば、高齢の方が「最近、朝早く目が覚めてしまって辛いから睡眠薬が欲しい」と来院されたとします。この時、安易に睡眠薬を出すのは良くありません。
よくお話を聞いてみると、「夜9時に寝て、朝3時に起きている」というケースがあります。これは十分に睡眠時間が取れており、日中に眠気がないのであれば、実はお薬は必要ありません。このケースでは、「そういうものだから安心していいんですよ」とお返しするのが正解です。
ここで話を聞かずに睡眠薬を出してしまうと、薬がやめられなくなったり、ふらついて転倒してしまったりする危険性があります。また、薬を出す前に「睡眠衛生指導」を行うだけで不眠が治る方もいます。
● 規則正しい生活を心がける
● お酒を飲みすぎない(寝酒はかえって不眠の原因になります)
不眠一つとっても、原因を突き止め、どう治療を進めていくかで結果は大きく変わるのです。
不眠に悩む人の有力な選択肢
不眠は全く違う病気が隠れていることもあり、決して油断ならないものです。診療科名に「睡眠障害」が新たに追加され「睡眠障害科」などができることで、専門的な知識を持った医師に診てもらうための指標が分かりやすくなるのは、非常に良いことだと思います。
もし今後、皆さんの近くに「睡眠障害科」を名乗るクリニックができたら、不眠に悩んだ際の有力な選択肢として検討してみてください。近くにない場合は、まず評判の良い精神科を受診していただくのが安心です。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。






