自分の人生を生きたいのに、気づくと「他人に認められるため」ばかりの人生になってしまう。書籍『私たちはなぜ「やるべきこと」をやれないのか、「やめたいこと」をやめられないのか』(キム・ソクチェ著/岡崎暢子訳)は、神経内科専門医として脳科学分野の第一線で活躍する著者が、「感情や欲望に振り回されずに生きる方法」を、脳科学・心理学・哲学の視点からわかりやすく解説した一冊です。本記事では本書の発売を記念して、その内容を一部抜粋・再編集して紹介します。
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他人の人生ではなく、「自分の人生」を生きるには?
20世紀ドイツの哲学者ハイデガーは「真正性」についての哲学でよく知られています。
彼にとって「真正の存在」とは、「世間の期待やプレッシャーに流されず、自分だけの可能性に向かって生きる人」のことです。
ハイデガーは、人はしばしば、「世人(ダス・マン)」という「名もなき大衆の基準、いわゆる世間の常識に従って生きている」と指摘しました。
「誰々がこう言った」「これが安定した人生だ」といった、匿名の判断基準で自分にジャッジを下すような生き方は「非真正的」であると主張したのです。
今で言うなら、「やせなくちゃ」「成功しなくちゃ」「SNSで話題のあのスイーツ食べなくちゃ」などの行動がそれにあたるでしょうね。
彼にとっての「真正性のあるセルフマネジメント」とは、「流行や他人の基準に従うことではなく、自分だけの生き方の可能性を選び取ること」でした。
後悔しない人生を送るには「死を意識すること」
さらにハイデガーは、真正性を目覚めさせるカギは「死を意識すること」だと説きました。人間は限られた時間の中で生きています。
だからこそ、「もし明日死ぬとしたら、今のこの選択に後悔はないか?」という問いかけは、私たちを「本当の自分だけの人生」へと導いてくれるのです。
たとえ友人がみなヨガ教室に通っていたとしても、あなたが自宅で踊りたいと心から思うのなら、迷わずそうすべきです。ハイデガーはこう言うでしょう。
「死を目の前にしても後悔しないなら、それがキミの真正なる道だ」
ハイデガーの教えは、SNS中心の生き方や、他人の目を意識した現代人の選択にとっても、強力な解毒剤となります。
(本稿は『私たちはなぜ「やるべきこと」をやれないのか、「やめたいこと」をやめられないのか』から一部抜粋・再編集した記事です)








