2万人をみてきた組織開発コンサルタント・勅使川原真衣氏の著書『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』が刊行。坂井風太氏も「革新性がある」と絶賛した同書の内容をもとに、抜粋・再構成して特別公開する。

組織の違和感Photo: Adobe Stock

「同じ方向を向けていない」のは危険

 声をかけたときの気まずそうな表情、言葉をためらった一瞬の間、近くにいるのに目が合わない、リアクションの遅れ……。

 決定的な問題ではないものの、なんだか変な感じがする。

 組織のルールに従っているはずなのに、「見えない慣習」や「暗黙の了解」で縛られている気がする。

 それに気づいていない人が同じ方向を向いていない感じもする。

 それが積み重なれば、上司も部下も疲弊し、組織の大問題に発展することにもなりかねません。

「なんか変」は大事なサイン

 数学者の伊原康隆さんは、『学ぶとは 数学と歴史学の対話』(ミシマ社)の中で、「他人の論文を読んでポイントをつかむためにもこの『何か変』という感覚が必要です」とおっしゃっています。

 それは、「ふっと感じる重要な作用」で、「他人を傷つけかねない追求の行き過ぎに気づける」手がかりにもなると言います。

 つまり、「何か変」は不穏でありながら、大事なサインでもあるのです。

 職場における違和感には、大きく4つの種類があるように思います。①タスクにまつわること、②人の所作や態度に関すること、③自分の評価に関すること、④安心感にまつわること、です。

「この仕事必要なのかな」というのが①、「今のあの人の言葉、ちょっと棘があったな」というのが②、「自分ってこんなふうに思われてたんだ」というのが③、「自分はここにいていいのだろうか」というのが④。

 いずれも、自分が想像していた「当たり前」とのズレにあたります。

決定的な「嫌い」や「無理」になる前に対処する

 しかしこの違和感、サインではあるものの、何もしなければどんどん積もっていくのが厄介なところ。勝手に消えてなくなりはしないのです。

 一度忘れても、また「あれ?」と思うことがあると、次第にそれが「やっぱり」という確信へと変わっていきます。そのたびに、「そういえばこの前もこんなことあったな……」と思い出して、また違和感が発動する。

 そのうち、「嫌い」や「無理」といった感情が、決定的なあきらめや失望という確信を持った形で表れるのです。

 最初はほんの少しの違和感であっても、それが積み重なれば、解きほぐすことは難しくなります。

 そんな「違和感の積もった組織」というのが、ささいなすれ違いも解決できないまま、問題を雪だるま式に大きくしていると痛感しています。

 だからこそ私は、それが積み重なる前に対処することを提案したいのです。