「シリコンバレーの天才たちの群像劇に、ページをめくる手がとまらない」
「この本を読まずして、現代の国際情勢は語れない」
発売以来、そんな絶賛の声が続々集まっているのが、書籍『半導体戦争 世界最重要テクノロジーをめぐる国家間の攻防』(クリス・ミラー著、ダイヤモンド社刊)だ。
本書は、スマートフォンなどの日用品から軍事兵器に至るまで、世界の命運を握る「半導体」をめぐる米中などの熾烈な覇権争いを圧倒的なスケールで描き出し、日本のビジネス現場でもさまざまな企業・業界・個人から圧倒的な支持を集めている。
今回、著者のクリス・ミラー氏が緊急来日。ラピダスの成功確率から、AI時代の日本の半導体メーカーの生き残り戦略まで、我々が今もっとも知りたい質問をぶつけてみた。全8回にわたってお届けする。(構成/大野和基)
Photo: Adobe Stock
半導体の未来を考える上で
鍵となる2つの分野とは
――これからの10年、日本企業が世界の半導体覇権競争の中で独自の立ち位置を確立し、再び輝くために最も注力すべきことは何だとお考えですか?
クリス・ミラー(以下、ミラー) そうですね、独自の地位を確立することに注力すべきだと思います。それは技術的リーダーシップによってのみ保証されます。
技術的リーダーシップは、企業にとっても国にとっても、唯一持続可能な戦略です。ですから、チップの未来を考える上で、2つの異なる分野における技術的リーダーシップについて問うべきだと思います。
1つ目はデータセンター、2つ目はAIのデバイスへの応用です。
スマートフォンやコンピューターだけでなく、自動車、ドローン、ロボットなどにもAIが活用されるでしょう。データセンター向けチップは、すでに目覚ましい進化を遂げています。わずか5年前とは全く異なるものになっています。
しかし、ネットワークのエッジとなるデバイスにおいては、まだそのような進化は見られません。今後10年間で、データセンターと同様に、デバイス上のチップにおいても大きな変化が見られると予想されます。
そしてそれは大きなチャンスです。なぜなら、どの企業がその市場で主要なプレーヤーになるのかはまだ明らかではないからです。
半導体業界よりも
好調な業界はない!
――日本の半導体産業の最前線で働く技術者や経営者に向けてメッセージをお願いします。お金の誘惑に負けて、海外企業に転職するな、ですか?
ミラー (笑)そうですね、ここ数年は半導体企業にとって非常に良い時期でしたから、おそらく「半導体業界に留まりなさい。他にこれほど好調な業界はないのだから」というのが正しい教訓でしょう。
――次回作を現在執筆中とのことですが、差支えなければ、どのような内容なのでしょうか。
ミラー ええ、デジタル世界におけるAIの影響、つまり、コンピューターを使った作業方法やソフトウェアの動作方法がどのように変化するのかについては、すでに理解が進み始めていると思います。
まだ初期段階ではありますが、その分野の方向性は把握できています。AIが物理世界、つまりロボットや物理的なAIシステムといった分野にどのような影響を与えるのかについては、まだ概念化が始まったばかりだと考えています。
ですから、これは今後10年間で最も重要な課題だと考えています。私の次の著書では、物理世界における自動化とAIの過去、現在、そして未来を考察する予定です。
――いつ頃完成予定ですか?
ミラー それはお答えできません! できれば近いうちに。







