プロジェクトの最中、「目的から少しズレている気がする」と感じても、「今指摘したら空気が悪くなるかも」と意見を飲み込んでしまうことはないだろうか。しかし、サンダンス映画祭でグランプリを受賞した映画監督・長久允氏は、その配慮こそがプロジェクトを停滞させる要因だと語る。独自のチームビルディング術と思考法を紐解く。※本稿は、長久允『あなたにしか作れないけれど、世界に通用してしまう 脚本の教室』の一部を抜粋・編集し、独自インタビューを交えて構成したものです。(文/飯室 佐世子)
「よかれと思って」という配慮の罠
リーダーやマネージャーにとって、チーム内の不協和音は避けたいもの。
特に近年は「心理的安全性」という言葉が広まり、メンバーのモチベーションを下げるような指摘や、場の空気を乱すような発言はタブー視される傾向にあります。
そのため、仕事の進め方やアウトプットに対して違和感を覚えても、「後で個別にフォローしよう」と、その場での指摘を避けてしまうリーダーは少なくありません。
しかし、その「配慮」は本当にプロジェクトのためになっているのでしょうか。
断罪ではなく「歯車を合わせる」
広告代理店で働きながら、一方で多くのスタッフを束ねて映画を制作する長久監督は、違和感を後回しにすることの危険性を指摘します。
監督が徹底しているルールは、非常にシンプルです。
「感じたら、すぐ言う」こと。
「すぐ言う」と聞くと、相手を頭ごなしに否定してしまうのではと感じるかもしれません。しかし、長久氏の意図は全く異なります。
長久允:違和感を消すために嘘をつくのがきつくなったので、思ったことを後回しにしないで、すぐ言うようにしていました。ここで重要なのは、言う目的です。相手を断罪するためではありません。
映画作りもビジネスも、「良いプロジェクトを作る」という共通のゴールを持ったチーム戦です。
にもかかわらず違和感が生じるのは、ただ単に「お互いの認識がズレている」から。
「ここ、ちょっと違和感があるんだけど」と即座に伝えることは、相手の人格否定ではなく、「歯車が少しズレているから、一緒に直そう」と提案しているにすぎないのです。
このマインドセットを持てば、「言うべきか、言わざるべきか」という無駄な逡巡は消え去ります。
遠慮というコストを捨て、
最短距離でゴールへ
「すぐ言う」ことは、決して冷たい行為ではありません。
「私たちは同じゴールを目指しているはずだ」という、相手への強い信頼の証であり、プロフェッショナルとしての責任です。
不要な遠慮というコストを捨て、「ズレたらすぐ合わせる」という軽やかなマインドを持つこと。
それこそが、最短距離でゴールを目指せる最強のチームを作る第一歩になるかもしれません。
(本稿は、『あなたにしか作れないけれど、世界に通用してしまう 脚本の教室』の発売を記念したオリジナル記事です)
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佐久間宣行さん、ラランド・サーヤさん大絶賛!
それっぽいもの」ではなく、
「本当に心を動かすもの」を
表現がいまいちしっくりこない。
この仕事、自分がやらなくてもいいような気がする。
もっとおもしろいものを作りたい。
そんな悩みに、現役サラリーマンでありながら、海外の映画賞で「日本人初」の快挙を総ナメしてきた著者が答えます。
どうしたら、自分だけの表現をし、それを成果に結びつけられるのか。
どんな人でも、「あなたにしか作れない作品」を生み出せるようになる、まったく新しい脚本術が誕生しました!

これからの「世界のスタンダード」を伝える
いま世界で本当に評価されるものは、「何かに似ているもの」ではありません。
ハリウッドで必ず聞かれること。それは、
“What’s your VOICE?”
あなたのボイスは何ですか?
ということです。
つまり、他の誰でもない「あなたが」何を伝えたいか、ということ。
では具体的にどうすればいいのか。
すべてを自分で切り開いてきた著者が、包み隠さず伝えます。
真剣に表現したいと思う人、自分らしさを失わずに働きたいと思う人に、とても響く内容です。
本書の内容
はじめに
「この本の結論を先に言います。」
「それっぽいもの」は最低だぜ!
王道の脚本方式と完全自己流の脚本方式をミックスして
そもそも脚本家ってどうやってなったらいいかわからない問題
Lesson0 世界一になるまでの変則ルート
「私が映画を作ったのは32歳から! おせ~!」
一度は夢をあきらめて、就職! (挫折期)
CMプランナーから、店頭ビデオプランナーに (朦朧期)
倒れて気づく。「クライアントは自分」
そして世界一。日本人初の快挙を、まさか私が。
「そもそも映画ってなんなの?」
Lesson1 何を書く?
「脚本ってなんですか?」
設計図としての書式
Step0 私は何を書くべきなのかを見つける
Lesson2 王道! ハリウッド式脚本法
「で、どうやって書くの?」
Step1 「ログライン」を書く
Step2 登場人物を作り込む
Step3 3幕構成にする
Step4 シーンを作る シーンカード入れ替え検証
Step5 セリフとト書きを書く
Interval あなたが天才かどうかという重要な話。
Lesson3 誰でもできる長久式脚本法
「めっちゃ変な書き方。それでいい。」
Step1 はじめに「怒り」と「悲しみ」がある
Step2 音楽を見つける
Step3 エンドロールの歌詞を書く
Step4 映画のタイトルを決める
Step5 ポエトリーリーディング脚本法
Step6 そのセリフをシーンや人物に振り分ける
Step7 音だけの2時間映画を作る
Step8 直し続ける
Lesson4 迷ったとき役立つかもしれない裏技集
「何も浮かばないよ!」
裏技1 絶対に誰にも言いたくない思い出を書く。
裏技2 SNSには書けない「よくない感情」という金脈
裏技3 会話のセリフがうまく書けないなら
裏技4 設定がうまく伝わってないと感じたら
裏技5 タイトルから考えちゃうっていうのはどう?
裏技6 「ポエトリーリーディング脚本法」に欠かせない号泣プレイリスト
裏技7 「うまい」は敵!
裏技8 極論! 10年書かないでみる
裏技9 おもしろくなくてもいいじゃないか(本気で言っている)
Lesson5 書いたあとどうする?
「映像化しちゃう?」
お金集めをどうするか(自腹、賞金、クラファンそれぞれのやり方)
予算別! 映画の作り方(10万円、100万円、1000万円)
実写映画撮影現場での時間削減工夫集(事前準備と心持ち)
ロケ場所についての具体的解決案
Lesson6 あなたにしか作れないものがある
「情緒不安定なあなたは向いている」
「当事者しか知らない感情がある」
「だから、本当のことしか書かない」……