サラリーマンでありながら海外の映画祭でグランプリを受賞した長久允氏。その思考法と脚本術を存分に伝える『あなたにしか作れないけれど、世界に通用してしまう 脚本の教室』が発売となりました。佐久間宣行さん、ラランド・サーヤさんも大絶賛する同書から、抜粋・再構成して特別公開します。
多くの人が関わるプロジェクトには、さまざまな事情が絡みます。
そして当然、日程やお金の制約も出てくる。
ある程度経験が積み重なってくれば、「仕方ない」とすることも必要かもしれません。
ですが、それがあなたにとって大切なプロジェクトだった場合、どこまで融通をきかせて、どこまでは譲らないか、という線引が非常に大切になります。
そこを間違えると、修正がきかなくなり、ずっと後悔することになるからです。
「予算ありき」の慣習に立ち止まる
たとえば、予算から逆算して、企画を考えるべきか? という問題。
これは、難しい問題です。「はい」とも言うべきだし、「断固、いいえ!」とも言いたい。
映画には、予算がないと撮れないものがたくさんあります。
たとえば100人の小学生が合唱するシーンをどうしても撮りたいと思っても、小学生を集めるためには子役の事務所に適正金額お支払いして来ていただくわけですから、単純計算で8000円を100人分でキャスト費用だけで80万円かかります。
これが予算的に容易なシーンではないことをまずは知らなければなりません。
予算を最優先に考えれば、ワンシチュエーションで登場人物がなるべく少ない物語を書く。それも1日で撮影できそうなものを。という条件になっていくでしょう。
「嘘」を決断の軸にする
しかし、改めて大事なことを思い出してほしいのです。
「それは、あなたがどうしても描きたい物語なのか?」ということ。
つまり、「あなたがやりたいという気持ちに嘘はないか?」ということです。
リーダーがどういうスタンスで現場に向き合っているかは、メンバーに必ず伝わります。私も、脚本には私が思っている本当のことしか書いていません。
そこにカッコつけや、誤魔化しがあると、バレてしまう、と感じています。
自分に嘘をつかないという小さな心がけが、すべてのクオリティに関わってくる。
逆に言えば、そこさえ明確になれば、あとはやるべきことをやるだけです。
予算がないなら、たとえば工夫する。どんな手段を使っても実現させる。
工夫は無限です。工夫工夫工夫工夫工夫! あきらめてはなりません。
Aの手段がダメなら、Bの手段ならどうか? それがダメならCはどうか? それもダメならZならどうか?
自分が伝えたかったことが失われない範囲で、やれることを考えます。
いろいろな経験をしてきたからこそ、きっぱり引ける線引きがあり、そして、時間は有限です。
私たちに「本当はそれほどやりたいわけではない案件」に費やすような時間はないのです。

世界が注目する脚本家が初めて明かす、表現の極意!
Amazonランキング1位! (「映画の本(総合)」2026年2月21日~23日)
佐久間宣行さん、ラランド・サーヤさん大絶賛!
それっぽいもの」ではなく、
「本当に心を動かすもの」を
表現がいまいちしっくりこない。
この仕事、自分がやらなくてもいいような気がする。
もっとおもしろいものを作りたい。
そんな悩みに、現役サラリーマンでありながら、海外の映画賞で「日本人初」の快挙を総ナメしてきた著者が答えます。
どうしたら、自分だけの表現をし、それを成果に結びつけられるのか。
どんな人でも、「あなたにしか作れない作品」を生み出せるようになる、まったく新しい脚本術が誕生しました!

これからの「世界のスタンダード」を伝える
いま世界で本当に評価されるものは、「何かに似ているもの」ではありません。
ハリウッドで必ず聞かれること。それは、
“What’s your VOICE?”
あなたのボイスは何ですか?
ということです。
つまり、他の誰でもない「あなたが」何を伝えたいか、ということ。
では具体的にどうすればいいのか。
すべてを自分で切り開いてきた著者が、包み隠さず伝えます。
真剣に表現したいと思う人、自分らしさを失わずに働きたいと思う人に、とても響く内容です。
本書の内容
はじめに
「この本の結論を先に言います。」
「それっぽいもの」は最低だぜ!
王道の脚本方式と完全自己流の脚本方式をミックスして
そもそも脚本家ってどうやってなったらいいかわからない問題
Lesson0 世界一になるまでの変則ルート
「私が映画を作ったのは32歳から! おせ~!」
一度は夢をあきらめて、就職! (挫折期)
CMプランナーから、店頭ビデオプランナーに (朦朧期)
倒れて気づく。「クライアントは自分」
そして世界一。日本人初の快挙を、まさか私が。
「そもそも映画ってなんなの?」
Lesson1 何を書く?
「脚本ってなんですか?」
設計図としての書式
Step0 私は何を書くべきなのかを見つける
Lesson2 王道! ハリウッド式脚本法
「で、どうやって書くの?」
Step1 「ログライン」を書く
Step2 登場人物を作り込む
Step3 3幕構成にする
Step4 シーンを作る シーンカード入れ替え検証
Step5 セリフとト書きを書く
Interval あなたが天才かどうかという重要な話。
Lesson3 誰でもできる長久式脚本法
「めっちゃ変な書き方。それでいい。」
Step1 はじめに「怒り」と「悲しみ」がある
Step2 音楽を見つける
Step3 エンドロールの歌詞を書く
Step4 映画のタイトルを決める
Step5 ポエトリーリーディング脚本法
Step6 そのセリフをシーンや人物に振り分ける
Step7 音だけの2時間映画を作る
Step8 直し続ける
Lesson4 迷ったとき役立つかもしれない裏技集
「何も浮かばないよ!」
裏技1 絶対に誰にも言いたくない思い出を書く。
裏技2 SNSには書けない「よくない感情」という金脈
裏技3 会話のセリフがうまく書けないなら
裏技4 設定がうまく伝わってないと感じたら
裏技5 タイトルから考えちゃうっていうのはどう?
裏技6 「ポエトリーリーディング脚本法」に欠かせない号泣プレイリスト
裏技7 「うまい」は敵!
裏技8 極論! 10年書かないでみる
裏技9 おもしろくなくてもいいじゃないか(本気で言っている)
Lesson5 書いたあとどうする?
「映像化しちゃう?」
お金集めをどうするか(自腹、賞金、クラファンそれぞれのやり方)
予算別! 映画の作り方(10万円、100万円、1000万円)
実写映画撮影現場での時間削減工夫集(事前準備と心持ち)
ロケ場所についての具体的解決案
Lesson6 あなたにしか作れないものがある
「情緒不安定なあなたは向いている」
「当事者しか知らない感情がある」
「だから、本当のことしか書かない」……