社会人として「アンガーマネジメント」を身につけ、波風を立てずに生きるうちに、本当の感情がわからなくなってしまうことはないだろうか。映画監督の長久允氏が書いた『あなたにしか作れないけれど、世界に通用してしまう 脚本の教室』を読んで、自分の隠してきたネガティブな感情を「金脈」だと全肯定され、衝撃を受けた。(文/飯室 佐世子)
「まともな大人」を演じることの代償
社会人として経験を積み、それなりに「波風を立てずにやり過ごす技術」が身についた。
理不尽なことがあっても、うまく笑顔を作れる。アンガーマネジメントだってできるようになった。
でも、その代償として、私は自分が本当は何に怒り、何に悲しんでいるのか、自分の感情すらわからなくなってしまった。
それでも時折、ふとした瞬間に、不謹慎でドス黒い感情が心の奥底から湧き上がってくることがある。私はそんな醜い自分に恐怖し、「まともな大人」を演じるために必死に重い蓋をしてきた。
人生の捉え方を覆された本
私と同じように、立派な「社会性の鎧」の下で、本当は息苦しさを感じている人はいないだろうか?
そんなモヤモヤを抱えていた時、一冊の本に出会った。
映画監督・長久允氏の著書『あなたにしか作れないけれど、世界に通用してしまう 脚本の教室』だ。
タイトルからして、映画やドラマの脚本の書き方を教えるノウハウ本だと思っていた。しかし、ページをめくってすぐに、それが単なる技術書ではなく、「人生の捉え方」を根底から覆す本だと気づいた。
本の中で著者は、私がずっとひた隠しにしてきたネガティブな感情を、なんと「金脈」だと全肯定してくれたのだ。
SNSに書けない感情は金脈。そう思うのです。
――『あなたにしか作れないけれど、世界に通用してしまう 脚本の教室』P.152より
妄想の中では犯罪行為はありません。妄想は『勇気』とも言い換えられます。
――『あなたにしか作れないけれど、世界に通用してしまう 脚本の教室』P.72より
現実の社会では「悪」とされ、押し殺すしかない感情も、創作物(フィクション)というフィルターを通せば、誰にも真似できない強力な武器になる。
その事実に、私はどれほど勇気をもらったかわからない。
書くことで、自分の人生を取り戻す
本に背中を押されるようにして、私は誰にも見せないノートを開き、自分の中の「怒り」や「悲しみ」を思いのままに書き殴ってみた。
すると、どうだろう。これまで必死に押し殺してきたドロドロとした感情が、文字になった途端にある種の「エンタメ」として客観視できるようになったのだ。
心が不思議とスッと軽くなる感覚があった。これが、著者が言う「セラピー」の効果なのだろう。
と同時に、著者がかつて過労で倒れた時に気づいたという言葉に、深く頷いた。
「自分の人生のクライアントは、『自分』じゃんか」
ハッとした。
私は今まで、他人の顔色(クライアントや社会)ばかりうかがって、自分自身の声を無視していたのだと気づいた。
この本は、単なる「脚本の書き方」のノウハウ本ではない。
自分の欠点や恥ずかしい過去を肯定し、「あなたにしか作れない人生」を取り戻すための、強烈なカンフル剤だ。
著者は力強く、こう言い切る。
「天才はいない。個人的さだけがそこにあるのだ」
もしあなたが今、「社会的な正しさ」を演じ続けることに疲弊し、本当の自分を見失いそうになっているのなら。
どうかこの本を手に取ってみてほしい。
押し殺してきた感情を解放した先にある、あなただけの物語が、きっと見つかるはずだから。
(本稿は、『あなたにしか作れないけれど、世界に通用してしまう 脚本の教室』の発売を記念したオリジナル記事です)
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佐久間宣行さん、ラランド・サーヤさん大絶賛!
それっぽいもの」ではなく、
「本当に心を動かすもの」を
表現がいまいちしっくりこない。
この仕事、自分がやらなくてもいいような気がする。
もっとおもしろいものを作りたい。
そんな悩みに、現役サラリーマンでありながら、海外の映画賞で「日本人初」の快挙を総ナメしてきた著者が答えます。
どうしたら、自分だけの表現をし、それを成果に結びつけられるのか。
どんな人でも、「あなたにしか作れない作品」を生み出せるようになる、まったく新しい脚本術が誕生しました!

これからの「世界のスタンダード」を伝える
いま世界で本当に評価されるものは、「何かに似ているもの」ではありません。
ハリウッドで必ず聞かれること。それは、
“What’s your VOICE?”
あなたのボイスは何ですか?
ということです。
つまり、他の誰でもない「あなたが」何を伝えたいか、ということ。
では具体的にどうすればいいのか。
すべてを自分で切り開いてきた著者が、包み隠さず伝えます。
真剣に表現したいと思う人、自分らしさを失わずに働きたいと思う人に、とても響く内容です。
本書の内容
はじめに
「この本の結論を先に言います。」
「それっぽいもの」は最低だぜ!
王道の脚本方式と完全自己流の脚本方式をミックスして
そもそも脚本家ってどうやってなったらいいかわからない問題
Lesson0 世界一になるまでの変則ルート
「私が映画を作ったのは32歳から! おせ~!」
一度は夢をあきらめて、就職! (挫折期)
CMプランナーから、店頭ビデオプランナーに (朦朧期)
倒れて気づく。「クライアントは自分」
そして世界一。日本人初の快挙を、まさか私が。
「そもそも映画ってなんなの?」
Lesson1 何を書く?
「脚本ってなんですか?」
設計図としての書式
Step0 私は何を書くべきなのかを見つける
Lesson2 王道! ハリウッド式脚本法
「で、どうやって書くの?」
Step1 「ログライン」を書く
Step2 登場人物を作り込む
Step3 3幕構成にする
Step4 シーンを作る シーンカード入れ替え検証
Step5 セリフとト書きを書く
Interval あなたが天才かどうかという重要な話。
Lesson3 誰でもできる長久式脚本法
「めっちゃ変な書き方。それでいい。」
Step1 はじめに「怒り」と「悲しみ」がある
Step2 音楽を見つける
Step3 エンドロールの歌詞を書く
Step4 映画のタイトルを決める
Step5 ポエトリーリーディング脚本法
Step6 そのセリフをシーンや人物に振り分ける
Step7 音だけの2時間映画を作る
Step8 直し続ける
Lesson4 迷ったとき役立つかもしれない裏技集
「何も浮かばないよ!」
裏技1 絶対に誰にも言いたくない思い出を書く。
裏技2 SNSには書けない「よくない感情」という金脈
裏技3 会話のセリフがうまく書けないなら
裏技4 設定がうまく伝わってないと感じたら
裏技5 タイトルから考えちゃうっていうのはどう?
裏技6 「ポエトリーリーディング脚本法」に欠かせない号泣プレイリスト
裏技7 「うまい」は敵!
裏技8 極論! 10年書かないでみる
裏技9 おもしろくなくてもいいじゃないか(本気で言っている)
Lesson5 書いたあとどうする?
「映像化しちゃう?」
お金集めをどうするか(自腹、賞金、クラファンそれぞれのやり方)
予算別! 映画の作り方(10万円、100万円、1000万円)
実写映画撮影現場での時間削減工夫集(事前準備と心持ち)
ロケ場所についての具体的解決案
Lesson6 あなたにしか作れないものがある
「情緒不安定なあなたは向いている」
「当事者しか知らない感情がある」
「だから、本当のことしか書かない」……