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新幹線で豚まんを食べるのは「アリ」か「ナシ」か――ネット上で繰り返されるこの対立の根底には、世間の誰もが気づいていない「とんでもない誤解」が潜んでいました。苦手派と寛容派では、そもそも“嗅いでいるニオイ”自体が違う!? 神経内科医が解き明かす、両者の間に生じる断絶の正体とは?(神経内科専門医 藤岡祐介)
豚まん論争の根底にある
『とんでもない誤解』
ネット上でも定期的に炎上する新幹線の「豚まん論争」をご存じだろうか。
豚まんやシューマイのニオイに対し、世論は「否定派」と「肯定派」に完全に二分され、決して交わることのない論争を繰り返している。
正直に告白すると、私はこのニオイに対して常に強烈な不快感を覚えている強硬な否定派だ。逃げ場の無い密室で、なぜあのような暴力的なニオイを出して平然としていられるのかと不思議でならなかった。
一方で、肯定派の意見は、駅で売っている美味しいものを食べているだけなのに、なぜそこまで場違いな怒りを振りかざすのか、なぜそこまで不寛容で神経質なのか、おなかがすくから嫌なのか、といったもので、まったく理解できない様子である。
読者の中にも、いずれかの立場から、敵方に対して「なぜなのか…」と強い疑問と憤りを抱き、そして大いなるストレスを感じている方がおられるのではないだろうか。
なぜ、我々はこの問題においてこれほどまでに分かり合えないのか。
神経内科医としてこの問いに向き合ったとき、私は人間の脳と知覚のメカニズムに向き合ってきた経験から「対立の根底に『とんでもない誤解』が存在しているのではないか」という仮説に思い及んだ。
それは「同じ空間で同じ物のニオイを嗅いでいるのだから、隣の人も自分と同じように『そのニオイ』を感じているはずだ」という誤解である。







