新幹線内で豚まんを食べることに否定的な人の中にも、2種類の属性が混在している。ニオイ自体は大丈夫であるがマナーの問題として我慢の必要性を説く「マナー重視派」とニオイ自体に生理的苦痛を感じて窮状を訴える「苦手派」である。
同じ車内喫食否定派のように見えて、両者の声にこもる温度感は当然異なる。前者の姿勢が「それってマナー違反では?」であるのに対して、後者は「不快なニオイをまき散らさないで」というスタンスになるという違いだ。
豚まん肯定派が、「なぜマナーを語るのに高圧的で攻撃的なのか?」と奇異に感じていたのはそのためなのかもしれない。
従来のマナー論だけでは論争に終止符が打てなかった背景には、こうした要因もあったのだろう。
異なる“ニオイ世界”を生きている
生物学がもたらす“休戦協定”
相手を非常識だと責める前に、あるいは相手を不寛容だと嘆く前に、「我々はそもそも違うニオイを感じている」という生物学的な可能性を相互理解の第一歩とすべきなのかもしれない。
しかし、おそらく完全に理解し合うことは難しいだろうし、仲良くする必要もない。大切なのは、双方の衝突を回避するための努力である。
肯定派にとって、それは「自分とは異なる“ニオイ世界”の人が、豚まんのニオイを獣臭として知覚し生理的なストレスを感じているかもしれない」ということを知り、理解することである。
私自身、次に新幹線で豚まんのニオイに遭遇したとき、やはり本能的に顔をしかめてしまうかもしれない。
しかし、「隣の席で豚まんを食べている人は無神経なわけでもなく、自分とは全く違う“ニオイ世界”を生きているのだ」と頭で理解できるだろう。
完全に分かり合うのは難しい。それでも、互いが別の“ニオイ世界”を生きていると知るだけで、少なくとも今より殺伐とはしなくなるはずだ。
【参考文献】
※1 Eriksson, N., Wu, S., Do, C. B., et al. (2012). A genetic variant near olfactory receptor genes influences cilantro preference. Flavour, 1(22).
※2 Keller, A., Zhuang, H., Chi, Q., et al. (2007). Genetic variation in a human odorant receptor alters odour perception. Nature, 449, 468-472.
※3 Lunde, K., Egelandsdal, B., Skuterud, E., et al. (2012). Genetic variation of an odorant receptor OR7D4 and sensory perception of cooked meat containing androstenone. PLOS ONE, 7(5), e35259.
※1 Eriksson, N., Wu, S., Do, C. B., et al. (2012). A genetic variant near olfactory receptor genes influences cilantro preference. Flavour, 1(22).
※2 Keller, A., Zhuang, H., Chi, Q., et al. (2007). Genetic variation in a human odorant receptor alters odour perception. Nature, 449, 468-472.
※3 Lunde, K., Egelandsdal, B., Skuterud, E., et al. (2012). Genetic variation of an odorant receptor OR7D4 and sensory perception of cooked meat containing androstenone. PLOS ONE, 7(5), e35259.







