2026年3月19日、米ホワイトハウスで会談する高市早苗首相(左)とドナルド・トランプ米大統領 Photo:JIJI
大国が自分の都合のいいように力で世界の秩序を変えていく、新しい国際法――。トランプ大統領の登場によって、国際法は変容しつつあります。米国とイスラエルによるイラン攻撃、ホルムズ海峡の封鎖。国際秩序が激変する状況で、日本の取るべき正しい道とは?(作家・元外務省主任分析官 佐藤 優、構成/石井謙一郎)
米国がイラン攻撃に
集中できる期間は?
2月28日、米国とイスラエルはイランを先制攻撃し、最高指導者のハメネイ師らが死亡しました。従来の国際法に照らせば、明白な主権侵害で違法行為です。しかし、トランプ米大統領の登場によって、国際法は変容しつつあります。大国が自分の都合のいいように力で世界の秩序を変えていくのが、新しい国際法なのです。
私は、外交官時代から30年近く家族ぐるみで付き合っているイスラエルの諜報機関モサドの元幹部と、3月8日に通信アプリで意見交換をしました。そのやりとりのうち、興味深い部分を紹介します。
――イスラエル軍と米軍によるイラン攻撃をどう評価するか。
「確実に言えるのは、イランの軍事力に壊滅的な打撃を与えたことだ。イランの軍事力の90~95%が破壊された。しかし、イランのイスラム主義体制の転覆を目的とするならば、地上軍を派遣しない限り不可能だ」
――軍事作戦は長期化するか。
「現時点では何とも言えない。サウジアラビアとバーレーンは、米国の意思決定に影響を与えることができる。両国はトランプ氏に攻撃中止を働き掛けたが、トランプ氏は耳を傾けなかった」
――トランプ氏の意思決定に影響を与える要因として、何に注目すればよいか。
「経済だ。原油価格が高騰し、米国内政に影響を与えるようになれば、トランプ氏も方針を転換する。
そして、これはまだ現実性を帯びていないが、中国だ。中国にとって、イランから安価な原油を購入し続けることには利益がある。さらに米国が空母打撃群を中東に集中させているため、東アジアで不測の事態が起きた場合、適切な対応ができない。例えば、中国が台湾併合のカードを切るそぶりを示した場合、米国はイランから手を引かざるを得なくなる。
もちろん現実的には、この時点で中国が台湾カードを切ることはなく、このシナリオは『頭の体操』にとどまるが、いずれにせよイラン危機で米国の軍事力の限界が中国に見えてしまったことは、今後の東アジアの安全保障との絡みで考慮しなくてはならない要因になる」







