不動産は適切な評価が
節税につながる
――今回の事例では不動産評価も相続税に大きく影響しています。こうした評価は相続人自身でも可能でしょうか。
田澤 広貴(たざわ こうき)/税理士。いちよう相続・税務サポート代表。不動産専門税理士事務所にて、相続税申告や不動産オーナーの税務業務に従事。現在は相続税・不動産に関する税務を中心に、幅広い相談に対応している。複雑になりやすい相続・不動産の税務をわかりやすく整理し、依頼者にとって納得感のある提案を心がけている。
田澤税理士:結論から申し上げると、一般の方にとっては容易ではありません。不動産の相続税評価は、路線価を基礎としながら、地積規模や形状、周辺環境などを踏まえて算定する必要があります。
今回の事例では駐車場用地への『地積規模の大きな宅地の評価』の適用は専門家でなければ見落としてしまう可能性があります。相続人ご自身が『この土地はこれくらいの価値だろう』と思っていた金額と、正しく評価した結果が大きく乖離(かいり)することも考えられます。
相続税の申告は自分でも行えますが、不動産を含む場合は税理士に依頼するとよいでしょう。適切な評価を行うことが、そのまま節税につながるからです。
今回の三村さんの事例が示しているのは、相続税の負担は「相続発生後の手続き」だけで決まるものではない、という点です。秀一さんが生前に遺言書を作成し、財産の分割方法を明確にしていたことが、結果として本件のような着地を可能にしました。
本件で活用された制度としては、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減など、現在(2026年時点)も有効な制度があります。また、不動産については、地積規模の大きな宅地の評価といった評価減の仕組みも重要なポイントです。
ただし、これらの制度はいずれも適用要件が細かく定められており、分割方法や事前準備によって結果が大きく左右されます。専門家の助言も踏まえながら、早い段階から検討しておくことが重要です。
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