感じのいい人、仕事ができる人――そんな第一印象に引きずられ、小さな引っかかりを見逃してしまう。その違和感こそが、相手の本性を示すサインかもしれない。『人生は「気分」が10割』の著者、キム・ダスル氏の新刊『人生は期待ゼロがうまくいく』の発売を記念した本稿では、ライターの柴田賢三氏に意外なことでわかる他人の本性についてのエッセイをご寄稿いただいた。(企画:ダイヤモンド社書籍編集局)
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仕事ができて気も利く
若手エース社員
以前、勤めていた会社で、とんでもない新入社員くんに遭遇したことがある。
小柄で、いかにも真面目で気の弱そうな男の子が入社し、私の部署に配属された。入社当初は仕事の覚えも早く、先輩社員たちに命じられる前に行動し、残業続きの仲間にコンビニでお菓子や缶コーヒーを差し入れるなど、社内の評価は「特A」ランクだった。
彼が入社してしばらく経った頃、残業で2人きりになった会社のテレビでサッカーの日本代表が試合をしていた。それを観ていた新入社員くんが、それまで見せたことのないような悪人ヅラになり、プレーしている選手のミスを口汚く罵りはじめたのだ。
新入社員くんがサッカー好きなのは聞いたことがあったので「ファンならではの意外な一面なのかな」とスルーしていたが、ミスをした選手以外への文句も止まらない。揚げ句の果てに当時の代表監督のことも小バカにしているのを見て、なんとも言えぬ違和感を抱いた。
試合が終わると、彼はいつもの好青年に戻り、机をきれいに片付けて退社した。
下請け業者に見せた
やばすぎる本性
次の日からも、いつも通りの振る舞いで違和感を忘れていたが、あるとき取引先からクレームが入った。
「柴田さん、あの新入社員、ウチの担当から外してくれない?」
聞けば、下請け業者さんに対して横柄な態度をとり続けているのだという。会社での立ち居振る舞いからは想像がつかない話だったので、彼が担当する別の取引先にも探りを入れてみた。
「ウチの新入社員くん、なにか問題ございませんかね?」
「今ごろ? 彼は、カネを出してるのは自分の会社で、われわれのような下請け業者は最初から見下してるから、いつもひどい態度だよ(笑)。若いからと思って我慢してたけど、最近は柴田さんもそれを知っててウチを切ろうとしてるのかな、とか勘繰ってましたよ」
私が下請け業者さんたちに平謝りして回り、彼にイエローカードを出して担当から外すと、サッカー観戦時の悪人ヅラで向こうからレッドカード(退職届)を出してきた。
「違和感」を見逃さない
“人生の指標”となる言葉の数々を収録している本、『人生は期待ゼロがうまくいく』の中には「『違和感』を見逃さない」という項目がある。
――『人生は期待ゼロがうまくいく』(p.25)
著者のキム・ダスル氏は、こうした連中を見抜くための特徴を8つ挙げ、自分が傷つかないための防衛策にも触れている。
――『人生は期待ゼロがうまくいく』(p.25)
この新入社員くんは、移籍した会社でも本性を現し、累積のイエローカードが限界に達していると聞いている。
(本記事は『人生は期待ゼロがうまくいく』の発売を記念した書下ろしエッセイです)
大学卒業後、複数の出版社や不動産会社での社員を経てフリーライターとして独立。週刊誌、月刊誌、WEBメディアなどで記者、編集者を経験した。事件、芸能、スポーツ、サブカルチャーまで幅広く取材に携わり、のちに新聞やテレビでも大きな話題になったスクープをモノにしたこともある。





