歓迎会や会食でいちばん避けたい“絶対NG行為”は、からあげにレモンを絞ることでも、サラダを勝手に取り分けることでもありません。場をしらけさせることです。
退屈そうな顔をして、ため息をつき、気のない返事をし、全体の空気を冷やしてしまうこと。これこそが、いちばん相手を失望させる振る舞いだと言っていいでしょう。
大笑いする必要も
宴会芸を披露する必要もない
とはいえ、ここで勘違いしてはいけないのは、「盛り上げ役になれ」という話が、道化師になれという意味ではないことです。
無理に大声を出したり、あからさまに大笑いしたり、宴会芸を披露したりする必要はありません。歓迎会や会食で本当に求められるのは、自分が主役になることではなく、相手が話しやすく、そこにいて気まずくならない空気をつくることです。
この点を考えるうえで参考になるのが、イスラエルのゴーランドらの研究です。彼女たちは、会話をしないまま隣り合って映画を見た参加者同士でも、感情反応や生理反応が同期しやすいことを示しました。
つまり、人は直接やり取りをしていなくても、同じ場を共有しているだけで気分が影響し合いやすいのです。
もちろん、これは女子学生の知人同士が映画を見た研究であり、そのまま飲み会に当てはめることはできません。それでも、場の中心にいる人の表情やテンションが、周囲に波及しやすいというヒントにはなります。
だからこそ、歓迎会や会食では、まず自分自身が不機嫌そうな顔をしないことが大切です。ニコニコしていれば全員が勝手に楽しくなる、とまでは言えません。けれども、少なくとも無表情や冷たい反応は、そのまま場の温度を下げます。会の雰囲気は、料理より先に、人の表情で決まるところがあるのです。
もうひとつ覚えておきたいのは、飲み会では後半の印象が強く残りやすいということです。
カーネマンらの有名な研究は、もともと「痛みのような不快な体験」を人がどう振り返って評価するかを調べたものですが、経験全体の長さよりも、「いちばん強かった瞬間」と「終わり方」が、その後の記憶に強く影響しやすいことを示しました。
いわゆるピーク・エンドの法則です。終盤の雰囲気が全体の印象を左右しやすいという法則は飲み会にも当てはまりそうです。
そう考えると、歓迎会や会食で大事なのは、最初から最後までずっと高いテンションを維持することではありません。むしろ、終盤に向けて少しずつ空気を温め、最後を気分よく締めることです。
そのためにやるべきことは、飲み会の終盤に手品や宴会芸を披露することではありません。もっと現実的な振る舞いで十分です。







