場を白けさせないために
何をするべきか?

 たとえば、場が少し間延びしてきたと感じたら、「そういえば皆さん、最近忙しいですか?」と軽く全体に振ってみる。まだあまり話していない人がいれば、「○○さん、最近何か面白いことありました?」と自然に話を回す。歓迎される側や送られる側には、「せっかくなので一言だけお願いします」と短く区切って話してもらうと、場にメリハリが生まれます。

 また、料理や飲み物をきっかけに、「これ美味しいですね」「次は何頼みましょうか」と話題をつなぐのも効果的です。少し盛り上がってきたタイミングで「ここで一回、写真撮りましょうか」と声をかければ、その場の空気も一段明るくなります。

 終盤に差しかかったら、「そろそろ締めに入りましょうか」と一度流れを整え、「今日はありがとうございました」と短く気持ちよくまとめる。こうした小さな動きをいくつか入れるだけで、場がダラダラと崩れるのを防ぐことができます。

 特別なことをする必要はありません。むしろ大事なのは、「いま場の空気がどうなっているか」を見ながら、一言だけ手を入れることです。そうした振る舞いは、周囲をよく見ている人にはきちんと伝わり、「あ、この人は場を任せても大丈夫だな」という安心感につながります。

 逆に、中盤でうまく盛り上がったのに、そこからダラダラ引き延ばしてしまうのは得策ではありません。

 ピーク・エンドの法則に則ると、楽しい空気ができたあとに間延びすることで、人の記憶は最後のダラダラを流れた空気に引っぱられることになります。

 もし会の終盤でちょうどよく盛り上がり、「今日はいい会だったな」という感触が出たなら、制限時間いっぱいまで粘るより、少し早めに切り上げるのも戦略としてありです。

「あと20分ありますけど、明日にお酒が残らないように、この辺で締めましょうか」

 そんな一言が言える人は、場の盛り上がりを“余韻”に変えられる人です。

 歓迎会や会食で相手を失望させる最大の原因は、マナー違反そのものではありません。場の空気を読まず、しらけさせ、終盤をつまらない時間にすることです。反対に、多少の細かい行き違いがあっても、「この人と飲むと感じがいい」「ちゃんと場を見ている」と思ってもらえれば、その会は成功です。

 からあげレモンより大事なのは、空気です。

 そして空気を決めるのは、料理ではなく、人です。

 歓迎会や会食では、細かいマナーを気にしすぎるよりも、相手が気持ちよく過ごせる雰囲気をどう作るかに意識を向けたほうが、ずっと満足度の高い会になります。

【参考文献】
Golland, Y., Arzouan, Y., & Levit-Binnun, N. (2015). The Mere Co-Presence: Synchronization of Autonomic Signals and Emotional Responses across Co-Present Individuals Not Engaged in Direct Interaction. PLOS ONE, 10(5), e0125804.
Kahneman, D., Fredrickson, B. L., Schreiber, C. A., & Redelmeier, D. A. (1993). When More Pain Is Preferred to Less: Adding a Better End. Psychological Science, 4(6), 401-405.
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