淳:だから結局、普段遊んでいる場所のレベルが、もうめちゃくちゃ高いってことですよね。どこかクラブチームに入った時には、もうすでに“ある程度やれる人”になっていると。

本田:「環境論」ですね。環境論の話ならここから5時間話せますよ(笑)。だからブラジルの場合は、プロになって、ブラジル国内で頑張って、プロサッカー選手として成功すれば「世界で一番上手い選手」みたいな扱いになるんですよね。でも日本の場合は違って、日本でプロになって、Jリーグで結果を残して、そこから海外に移籍して初めて「世界って広いな」って思い知らされる。日本のサッカーってそういう環境なんですよ。

本田圭佑が考える
「引退」とは?

淳:ここで、生徒(編集部注/「大人の小学校」の会員)から本田先生に向けた質問を紹介したいと思います。「現役引退の時期を考えていますか?」という質問がいくつかありましたが、いかがでしょうか?

本田:正直に言うと「引退」について考えたことは、若い頃にはありました。若い頃の方が、やっぱり周りが見えていない部分があって、それは当然のことだと思うんですけど、その分、意固地なところもあって。「自分は最高の状態で引退する」っていう美学を持っていました。

 でも実際に、自分が「もう最高潮ではないな」と自覚できるような立場になってみた時に、あることに気づいたんです。最高のプレーができることがすべてじゃないし、そもそも最高のプレーっていうのは「ファンを最も喜ばせられる」という“結果”に過ぎない。じゃあ「どうすれば見てくれる人が喜ぶのか」という視点に立って考えた時に、見せ方にはいろいろな形があっていいんじゃないかというのが、今の僕の考え方です。

 おそらく、三浦知良さんも今なお、そんな姿で多くの人に夢を与えていると思いますし。だから今の僕には、「引退する」ということ自体が逆に理解できなくなっています。例えば、50歳になって草サッカーをやっていて、そこに100人くらい見に来てくれる人がいたとしたら、それってもう“現役”って言っていいんじゃないかなって思うんですよね。J3の試合で観客が500人くらいしかいなかったとしたら……それって何をもって“現役”で、何をもって“引退”なんだろうって。その境界線が曖昧だなと感じています。だから本当に引退するときは、さらっと辞めるんじゃないかなと思いますね。