FRBパウエル議長Photo:Kevin Dietsch/gettyimages

 米連邦準備制度理事会(FRB)の政策当局者らは、公式には依然として年内の追加利下げを見込んでいる。

 しかし、注意深く耳を傾けると、異なるメッセージが浮かび上がる。関税措置と原油高によってインフレ率が高まり、労働市場は軟化しているものの深刻な悪化には至っていない中で、一部の当局者は次の一手が利上げにも利下げにもなり得ると示唆している。

 それはわずかだが重要な転換だ。つい数週間前まで、金融政策の先行きは明確に利下げ方向に見えた。だが過去1週間、多くの当局者がタカ派的な発言をしている。政策判断で常にFRB内の多数派と歩調を合わせた投票行動を取るリサ・クック理事は、米国とイスラエルによるイランへの攻撃を受けたエネルギー価格の上昇が物価圧力を強める中、インフレの長期化が再び、FRBの直面する最大のリスクになっていると述べた。

 シカゴ連銀のオースタン・グールズビー総裁は、利上げの可能性に明確に言及した最初の当局者の1人だ。同総裁はCNBCに対し、「インフレが落ち着いていれば、年内に複数回の利下げを行う局面に戻る可能性がある」と語った上で、「利上げが必要になる状況もあり得るとみている」と付け加えた。

 利上げの可能性はいまだに低い。しかし、その可能性を示唆するだけでも注目に値する。ジェローム・パウエルFRB議長は今月、過去2回の連邦公開市場委員会(FOMC)で、次の政策措置が利上げになる可能性があると公に示すことを当局者らは見送ったと述べた。

 たとえ利上げが実施されなくても、2024年9月に始まった金融緩和局面が6回の利下げで既に終了した可能性が高まっている。