Photo:Federal Reserve
FRB、3会合連続で利下げ
パウエル議長、中立金利到達を“宣言”
FRB(米連邦準備制度理事会)は、12月9~10日に開いたFOMC(米連邦公開市場委員会)で、政策金利(FF〈フェデラルファンド金利〉レートの誘導目標)を0.25%引き下げ、3.5%から3.75%のレンジとすることを決めた。
利下げは9月FOMCから3会合連続となり、パウエル議長は、FOMC後の会見で、物価の上方リスクと雇用の下方リスクがなお併存する難しい状況とした上で、後者の強まりに対応する利下げであることを説明した。
だがその一方で、今回のFOMCの声明文は、今後の政策運営を検討する上で「程度と時期」が焦点であることを新たに明記することでより慎重な検討を行う姿勢を示唆したほか、パウエル議長は、政策金利が中立金利の推計レンジの妥当な範囲に入ったとの認識を示し、利下げサイクルをいったん停止する可能性も併せて示唆した。
公表されたFOMCメンバーによる2025~28年の実質成長率見通しは、前回(9月)からいずれも上方修正され、とりわけ26年は0.5ポイント、大幅に引き上げるほか、28年にかけて潜在成長率をやや上回って推移するというポジティブな見方を示した。
一方でPCEインフレ率は、減速してきているが27~28年については前回から下方修正され、失業率見通しも、来年から再来年は4%台中盤で安定し、その後は若干だが低下するとしている。
パウエル議長は、政府機関の一部閉鎖の影響の剥落に加えて、AI(人工知能)の利用拡大などによる米経済の生産性の向上を考慮したほか、関税引き上げの影響は来年第1四半期にピークになると、関税の影響が想定より穏やかで済むことを示唆した。
こうしたFRBの姿勢は、今回のFOMCを巡って金融市場で頻繁に使用された「タカ派の利下げ」という表現とおおむね整合的だ。つまり、金融市場では、景気が底堅くインフレの再加速の可能性が残る中で、FRBは利下げの継続に慎重な姿勢を維持しつつも、少なくとも今回までは利下げを継続するというものだ。
だがFRBが利下げをいったん停止したとしても、その後の政策対応を巡っては、さまざまな不透明な要素がまだ残る。







