トランプ大統領が次期、FRB議長に指名する意向を示したケビン・ウォーシュ元FRB理事 Photo:Bloomberg/gettyimages
トランプ氏、「利下げ」求め早くも後継指名
NY株式一時600ドル下げ、金、銀先物価格も急落
米連邦準備制度理事会(FRB)は、1月27~28日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利(FFレートの誘導目標)を3.5~3.75%に維持することを賛成多数で決め、これまで3会合連続で進めてきた利下げを停止した。
パウエル議長は、会合後の会見で、消費の底堅さと設備投資の拡大を主因とする経済活動の力強さと労働市場の安定の兆しを指摘し、経済見通しの上方修正を示唆したほか、関税引き上げによる物価上昇は2026年本年前半以降に減衰していくとの見方を示し、この影響を除くとすでに2%のインフレ目標を実質的に達成しているとした。
こうした評価をもとに、議長は、政策目標である物価と雇用のおのおののリスクが低下し、「今やFRBは今後の政策金利の調節の程度や時期を判断する上で『良い立場』にある」と語った。
少なくとも米経済のファンダメンタルズの観点からは、追加利下げの必要性が低下したことになり、この点は次回(3月)のFOMCメンバーによる政策金利の予想パス(ドット・チャート)に大勢意見として反映されるとみられる。
パウエル議長が政策金利はもはや中立水準にあるとの考えを再確認した点も、追加利下げの必要性を減殺させる意味合いを持つ。
この点は、前回(12月)の経済見通しで示されたFOMCメンバーの見方(長期的にみた政策金利)に加えて若干高いが、マクロの生産性が2%を超える伸びを続けている以上、中立金利が相応に上昇したと考えることは合理的だ。雇用には弱さが残るとしても悪化のリスクが低下し、経済は堅調で、物価も実質的に目標近傍である以上、政策金利を中立的にすることは整合的だ。
しかし、FRBによる実際の政策運営を見通す上では、FRBに利下げを求め続けるトランプ政権による政治的な圧力の影響を引き続き考慮に入れざるを得ない。
トランプ大統領は、1月30日、FRBの次期議長に、ケビン・ウォーシュ元FRB理事を指名する意向を自身のSNSに投稿した。ウォーシュ氏について「彼が利下げを望んでいるのは確かだ」と、期待を語り、パウエル議長の任期が5月まであるなかで、早々に“次期議長”を公表、新たな利下げ圧力をかけ続ける。
一方で週末の30日のニューヨーク市場は、ウォーシュ氏が金融緩和に消極的との逆の見方から、下げ幅が一時600ドルを超えるなど、3日ぶりに反落。金や銀の先物価格も急落した。-
今後もトランプ政権とFRBの綱引きがどう展開されるのか。深刻な対立が続くとなれば、トランプ関税などからの米景気の軟着陸はあやうくなる。鍵を握るのは米金融市場だ。







