ウィンストン・チャーチル元英首相は著書『わが半生』に次のように記した。「決して、決して、決して、いかなる戦争も円滑で容易に進むと信じてはならないし、その奇妙な航海に乗り出す者が、自ら遭遇する潮流や暴風を見極められると思ってもならない。戦争の熱狂に屈する政治家は…もはや政策の主導者ではなく、予見も制御もできない出来事の奴隷となるのだ」。イランとの戦争を始めて1カ月がたち、ドナルド・トランプ米大統領はチャーチル氏の言葉がいかに正しかったかを思い知りつつある。戦争の拡大による経済的・政治的影響が世界中に波及する中、トランプ大統領は困難な選択の複雑な組み合わせに直面している。イランの軍事標的の特定に対するロシアの支援拡大にどう対処するのか。イエメンの親イラン武装組織フーシ派がミサイルやドローンによって再び紅海を封鎖し、世界的なエネルギーショックをさらに悪化させた場合、どうすべきか。米地上部隊をこの戦争に投入すべきなのか、投入するならどのような任務につかせ、どの程度のリスクを負うつもりなのか。何よりも、トランプ氏はイランの体制をいかにして打倒し、戦争終結に向けて自身が決めた条件を受け入れさせるのか、あるいは妥協をどのようにして成功に見せかけるのか。