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ダイヤモンド編集部が主要メディアの海外特派員数を独自集計したところ、今世紀に入り全体で約1割減少していることが判明した。NHKと日本経済新聞が増員を続ける一方で、産経新聞は半減、ブロック紙も撤退が相次ぐ。中堅層の離職によるなり手不足の問題や円安・物価高の影響で「満足に外食さえできない」という特派員の嘆きも相次いでいる。連載『メディア興亡』の本稿では、全国紙、通信社、キー局の海外特派員数や拠点都市の移り変わりを明らかにし、縮小する海外取材網の現状を浮き彫りにする。(ダイヤモンド編集部 猪股修平)
産経はニューヨーク、カイロ支局を閉鎖
主要メディアの特派員は今世紀に入り1割減少
今年2月25日、産業経済新聞社東京本社の東京編集局部長会は、加納宏幸編集局長による編集局員たちへの賛辞から始まった。「(ミラノ・コルティナ)冬季五輪は、病気やけがなく無事に取材を終えた。ウェブの展開含め順調で喜ばしい。(8日に投開票があった)衆院選との2正面作戦だったが、しっかりした報道ができた。感謝する」。
しかし、続く話題は暗いものだった。
「もう一つは残念なお知らせだ。(米国)ニューヨークと中東(カイロ)支局を閉じることになった。経費削減のため、厳しい経営状況に鑑みてこういう判断に至った。ニューヨークはワシントンに集約して北米・南米を取材。中東はイラン攻撃あるかという時期だが、ロンドン、パリ、東京から取材するという形になる」
くしくもこの3日後、米国とイスラエルはイランへの攻撃を開始した。そもそも産経の海外支局は、他の全国紙と比較して少ない。カイロ支局の閉鎖は中東・アフリカ地域からの完全撤退を意味していた。
他社よりも規模の小さい海外取材網をさらに縮小する決断に至ったのは、断腸の思いだったとみられる。事実、加納編集局長は2支局閉鎖を明らかにした上で「私は外信部長時代にシンガポール支局の閉鎖があり、今回の閉鎖も非常に残念だ。先輩がつないできた国際報道の伝統を途絶えさせることがないようにやっていきたい。火を絶やさなければ、また燃えることもあると思うので、協力をお願いしたい」と悔しさのにじむ心境をあらわにした。
経営状況の悪化や円安を背景に、海外支局網の維持に苦戦しているメディアは産経だけではない。ダイヤモンド編集部が公開情報を基に調べたところ、国内主要メディアの海外特派員数は今世紀初頭と比較して1割近く減少していることが判明した。
次ページでは五大新聞社(読売新聞社、朝日新聞社、毎日新聞社、産経、日本経済新聞社)と共同通信社、時事通信社、NHK、キー局(日本テレビ、テレビ朝日、TBS、フジテレビ、テレビ東京)、ブロック紙(北海道新聞社、中日新聞社、西日本新聞社)各社の特派員数を海外都市別にまとめ、会社や地域ごとの増減数の全貌を、物価高にあえぐ特派員の悲鳴と共に明らかにする。







