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中東情勢の悪化に伴うエネルギー価格の高騰が、物流業界を直撃している。軽油価格の急騰により燃料費が膨らむ一方で、運賃への価格転嫁は十分に進まず、物流各社の収益が急速に圧迫されている。政府による支援で持ちこたえてはいるものの、現場の不安は解消されていない。物流の現場では今何が起きているのか。特集『物流大戦』の本稿では、その実態と構造的課題に迫る。(ダイヤモンド編集部 田中唯翔)
エネルギー価格高騰が直撃
コスト増が先行する物流の現場
中東情勢の緊迫化に伴い、軽油価格が急騰している。トラック輸送を担う物流業界では、燃料費の上昇が重くのしかかり、現場の負担が急速に膨らんでいる。
「想定していた水準よりも明らかに高い状態が続いています。4月からの軽油の暫定税率廃止によるコスト低下を見込んでいたのですが、今回の値上がりでその恩恵はすべて打ち消されてしまいました」
東北地方を拠点とする中堅運送会社の幹部は、足元の状況をそう語る。資源エネルギー庁によると、年初から1リットル当たり140円台で推移していた軽油価格は、3月16日に同178.4円まで急騰した。その後は政府の補助金によって同160円付近まで下がったものの、紛争前と比べて約1割高い水準が続いている。
軽油価格の上昇は、現場の収益を直撃している。補助金によって爆発的な値上がりは抑えられているものの、コスト増が先行しているのが実情だ。
「いきなり燃料費が上がったので、価格転嫁が追い付いていません。想定より10%ほどコストが増えている」(同幹部)というように、影響はすでに表れ始めたようだ。帝国データバンクの試算では、燃料費が2025年比で1割上昇した場合、運輸業者の営業利益の平均は約28%減少し、約1割の業者が新たに赤字に転落する可能性があるという。
国内貨物輸送の約9割(トンベース)を担うトラック輸送は、社会インフラそのものだ。足元の業績は政府支援でなんとか持ちこたえているものの、業界内には先行きを不安視する声が根強い。その背景には、物流業界特有の構造問題がある。次ページでは、その実態に迫っていく。








