火の用心、家が火事に!
再び、りんのパート。
夜、「火の用心」の声が外で聞こえるなか、りんは実家に手紙を書いている。横で環が寝ている。
「私は……私は……」と手紙にほんとの近況が書けないでいるりん。その前の炊き出しのシーンでは直美が少年に「何をしにアメリカに行きたいのか」と聞かれ「私は……私の……」と言いよどんでいた。
ふたりとも、自分がどうあるべきか迷っている。
姑(しゅうとめ)の貞(根岸季衣)が、亀吉が飲み歩くのは、かわいげのない嫁のせいだと嫌味を言う。手紙を書くことが学をひけらかしているように感じているのだ。
そこへ亀吉がぐでんぐでんになって帰ってきた。
りんの手紙に何が書いてあるのか読んでみるが漢字が読めない。漢字の読みを教えられ、いらっとしてくしゃくしゃっと丸めて囲炉裏(いろり)に放り込んでしまう。どうせ俺の悪口を報告する手紙に違いないと勘ぐる亀吉。見下している自分にすがって生きていくしかないのだと嫌味を言われ、黙ってしまうりん。
「嘘(うそ)でも違えって言えねえんか」
「すいません」
この会話、おもしろいし、かなしい。すれ違う夫婦。環をいいところに嫁がせてやるという亀吉に、女学校にいかせてほしいと頼むりん。
酔っている亀吉が寝ている環に近づくと、ほうき片手に立ち向かうりん。まあちょっとそれはやりすぎたかなと思うが。それで怒り出した亀吉が丸めた紙を投げつける。そのうち行灯(あんどん)が倒れて火が燃え広がる。あっという間に、燃えていく部屋の中。双六も燃えてしまう。すてきな人生のビジョンが燃えていく。ああ。火の用心の声がしていたというのに。
姑が来て、動けない亀吉を連れて出ていってしまう。今回の朝ドラはいかにも悪役が次々出てくる。人は善も悪もグラデーションで持っているというような感覚はいっさいなし。潔く悪役。話を急いで進めているから、グラデーションを書いている暇はないのだろう。でもこういう単純な明暗もたまにはいいだろう。
取り残されたりんと環。しばし呆然(ぼうぜん)としていたりんはハッと我に返り泣き出した環を抱えて逃げる。
外に避難すると「奥様、奥様」と女中の声がする。でもその声とは逆の方にりんは逃げる。
暗がり、森を通り過ぎ、着いた先は――。
実家だった。
驚く母にりんは「また間違えた」とうわ言のように言う。
そして、「申し訳ありません。やめます。私、奥様やめる」と宣言。
そのときの美津の反応がすばらしい。
「負け戦を長引かせてはなりません」
かっこいいなあ美津。奥様でも美津のように素敵な奥様もいるのだ。
父の死、結婚、出産、火事とまだ8回なのに、双六みたいにイベントが目白押し。









