初代タイガーマスク 佐山聡氏 Photo:SANKEI
あらかじめ決められたストーリーや勝敗の筋書きなしで、選手が本気でやり合う「ケンカマッチ」。時には、「1・4事変」「アントニオ猪木vsグレート・アントニオ戦」「タイガーマスクvsレス・ソントン戦」のように、後に語り継がれる試合が行われることも。これらの伝説の試合について、初代タイガーマスク・佐山聡が語る。※本稿は、プロレスラーの佐山聡、藤原喜明、川田利明、船木誠勝ほかの『証言 プロレス界ケンカマッチの真実』(宝島社)の一部を抜粋・編集したものです。
「ケンカマッチ」と「シュート」は
まったくの別物
70年代の新日本道場は、藤原喜明が「サル山」と称したように力がものをいう世界で、狭い空間の男社会のため衝突は日常的に起こったが、それが客前での「ケンカマッチ」に発展することは少なかったと佐山は語る。
「プロレス団体というのは、腕に覚えのある人間たちが集まっているわけだから、ぶつかり合うことがないほうがおかしい。それはどこの世界でもあるのではないですか。でも、お客さんが観ているリング上でケンカはやってはいけないという意識はみんなあったと思います。とくに若手の試合は、山本小鉄さんも見てるし、猪木さんも見てるわけですから。
ただ、試合でガンガンやり合うなかで、お互いカタくなることはありました。それをみなさんは『ケンカマッチ』と呼ぶのかもしれませんが、カタくなったとしても、昔の新日本はカタいのが当たり前みたいなところがありましたからね。
だから、星野勘太郎さんとダイナマイト・キッドの試合がケンカマッチと言われますが、あれもお互いがカタくなりすぎたからです。
2人とも気が強いから、カタくなったら引かないんです。アドレナリンのぶつかり合いだから。でも、星野さんもダイナマイトもプロだから、ちゃんと試合は成立させていますよね。
よく言われる栗栖(正伸)さんと(ドン)荒川さんの『鹿児島選手権』もそうです。プロレスをやると、合う合わないってあるんです。それで意地の張り合いでカタくなってしまう。
でも、お互いプロだから、相手が試合をできなくなるようなケガを負わせることはないんです。だから、ケンカマッチと言うけれど、ケンカマッチと本当のケンカはぜんぜん違うものなんです」







