ニック・リヒテンバーグ記者の記事執筆はAIに指示を出すことから始まる
米ビジネス誌「フォーチュン」のニック・リヒテンバーグ記者は、同僚が1年間に書くよりも多くの記事を、わずか半年で書き上げた。ある水曜日には、1日で7本もの記事を完成させている。
「自分はちょっと普通じゃない」とリヒテンバーグ氏は語る。
多くの記者が電話をかけ、情報源との関係構築に時間を費やすのに対し、リヒテンバーグ氏はニュースが飛び込んでくると、プレスリリースやアナリストのメモを人工知能(AI)ツールにアップロードする。そして、即座に編集・公開可能な記事を作成するよう指示を出すのだ。同氏の仕事には、「調査のみならず記事の執筆もAI が主導権を握る」という、ジャーナリズムではタブーとされる手法が組み込まれている。
2025年後半、フォーチュンのサイト訪問数のうち、AIを活用した記事は2割近くを占めた。その大半がリヒテンバーグ氏の手によるものだ。
同氏のスタイルは、靴底を減らして現場を歩く粘り強い報道とは一線を画す。カトリック教会の不祥事を追った映画「スポットライト 世紀のスクープ」や、ウォーターゲート事件を描いた「大統領の陰謀」のような、組織の闇を暴くために駆け回る姿はそこにはない。
リヒテンバーグ氏はそれでもかまわないと考えている。本音を言えば企業の「内部に食い込む」仕事もしたいが、「人生で自分に配られたカードで勝負する」ことを学んだ。
もともと仕事の速さを評価されてきたリヒテンバーグ氏は、AIによってさらなる加速を手に入れた。AIを使うことで、特集記事に集中する時間もできた。例えば1月には、大学進学をやめ、「Z世代のブルーカラー革命」に身を投じた23歳の電気技師のルポを発表した。AIが骨子を作成し、それ以外の執筆作業はリヒテンバーグ氏が行った記事だ。







