ビジネス書では稀なコンテンツ展開
コミック化でさらに広い層へ
著者の林總さんは、本書以前にも『わかる!管理会計』(ダイヤモンド社)をはじめ経営・会計に関する書籍を著されてきましたが、「会計はビジネスの現場で活用するものなので、これまでにない実際に即したものを書きたい」との思いからストーリー中心の構成に仕上げたということです。
難解な損益計算書やバランスシートから何が見通せるのか、それがどんなときに役立つのか。林さんはその使いみちを明確にすることで、無味乾燥な数字がひとつひとつ意味を持ち、読者に会計の楽しさと奥深さを伝えることに成功しているのではないでしょうか。
[画像を拡大する]
前述のとおり、シリーズ化が進む一方、本書を原作としたマンガ版の刊行も行われました。ダブルミリオンを達成し、アニメ化、実写映画化もなされた『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』のような例外を除けば非常に稀なケースです。このコミック化についても、著者の林さんの「会計をもっと身近なものに感じてほしい」という一貫した姿勢から生まれたようです。
内輪の話になってしまいますが、同じ紙媒体の編集作業とは言っても、書籍とマンガのそれでは別の職種と言っていいほど中身が異なります。原書の担当編集者がマンガ版の編集にも携わりましたが、なかなか苦労したそうです。その甲斐もあり、マンガ版も5万部のヒットとなりました。