5.筋肉と骨の発達を助ける

 良い姿勢は身体のくせが少ないので、全身の筋肉がバランスよく働き、適切に筋力が発達しやすくなります。骨にも適度な刺激が加わり、成長を促すだけでなく、ケガの予防にもつながります。

6.内臓の働きが整いやすくなる

 筋肉や骨、内臓などが正しい位置に収まると、身体の一部に過剰な負担がかかりにくくなり、消化・吸収・排せつといった基本的な働きがスムーズになります。免疫力や回復力にも内臓は関わるので、食事からしっかりエネルギーを取り出して、体調を崩しにくい身体をつくります。

 このように、脳、神経、筋肉、骨、内臓など身体の各システムがそれぞれの役割を正しく果たすと、全体の連携もスムーズになり、身体全体のパフォーマンスも高まります

 姿勢を見直すことで生まれる好循環による健康状態の向上が、気になる言動の改善にもつながるのです。

姿勢のくせは発達特性由来の
問題や不調を起こしやすくする

 反対に、猫背で頭が前に出て、背中が丸まっている姿勢が続いているとします。

 このような姿勢は、身体の軸が不安定で偏りが強くある状態です。気道や血管、神経の通り道がまっすぐではなく、「段差」があるような状態になったり、ねじれが生まれ、流れに滞りができてしまいます。すると、気道が狭くなって呼吸が浅くなったり、血管や神経も圧迫されて、酸素や栄養、神経を伝達する信号が全身に届きにくくなったりしてしまうのです。

 そしてこの姿勢では、身体の各所に少しずつ無理がかかってきます

『子どもの気になる言動が改善する からだの使い方』書影子どもの気になる言動が改善する からだの使い方』(池上 悠、ディスカヴァー・トゥエンティワン)

 一部の筋肉や関節に過度の負担が起きて、ケガのリスクが高まります。内臓も、本来の正しい位置に収まりにくくなるので、消化・吸収・排せつにも影響が出てしまいます。その結果、おなかの不調なども起こしやすくなってしまうでしょう。

 こうした変化は、システム全体の働きにも影響を及ぼしてしまいます。身体のシステムがスムーズに働きにくくなることで脳や神経系の発達にも影響を与え、気になる言動の要因になることがあるのです。

 実際、発達障害やグレーゾーンの子どもたちのなかには、姿勢の特徴と合わせて次のような身体の問題も見られることがあります。

●呼吸が浅く、口呼吸になりやすい(呼吸系)
●アレルギー症状が出る、体調を崩しやすい(免疫系)
●おなかを崩しやすい(内臓系)
●動きがぎこちない、感覚が過敏になりやすい(神経系)

図・強い姿勢のくせがもたらす身体の問題同書より転載 拡大画像表示

 これらの問題の背景には、身体の姿勢が原因で、内部のシステム全体の乱れが起きているのかもしれません。

 適切な運動を通して、姿勢は必ず変わります。そして、「姿勢づくり」は、身体のシステムを少しずつ整えていく大切な第一歩です。それが、発育サポートや気になる言動の改善を後押ししてくれます。