「フキハラは加害者の普段の表情や態度が原因である分、パワハラに比べて発覚しにくいですが、会社へのダメージは同等かそれ以上になることもあります」

「フキハラ防止のために、会社はどう対処したらいいですか?」

<会社が行うフキハラ対策の一例>
○ 管理職向けハラスメント研修にフキハラの項目を加える。フキハラは「怒鳴らないパワハラ」であることを周知する。
○ 管理職向け研修の中で、自らの表情や態度が部下にどう受け止められ、その後の業務に影響するかを考える機会を設け、その上で適切な指導方法をレクチャーする。
○ 管理職の人事評価に、「部下の育成度合い」「部署内コミュニケーションの円滑度」を基準とする項目を盛り込む。
○ 管理職自身が「自分の態度がどう見られているか」を客観視できる仕組みをつくる。例えば、360度評価や匿名アンケートを活用し、部下からのフィードバックを定期的に受け取る仕組みを整えることで、無自覚な加害を早期に発見できる。
○ 新入社員や若手社員に対して、定期的にフォロー面談を行う。直属の上司以外(人事・総務・メンターなど)が状況を確認することで、問題が深刻化する前に気づくことができる。

 C部長は納得した表情でうなずいた。

「最後にもうひとつだけ質問させてください。A課長への対処方法についてちょっと困っています。本人を呼んで『表情や態度を変えろ』と注意すればいいものなのか……」

「確かにここが肝心ですね。まずA課長にはBさんが退職届を提出したことと、その理由をきちんと伝える必要があります。当然、A課長には反省と態度を改めてもらうことになりますが、その方法はですね……」

 そしてD社労士は、C部長にある提案をした。

 翌日の午後、C部長はAを応接室に呼んだ。そしてBが退職届を出していること、その原因がAのいつも不機嫌そうな表情や態度にあったことを話した。Aは驚いた。