学習心理学に「効果の法則」と呼ばれるものがある。快状態をもたらす行動は生起しやすくなり、不快状態をもたらす行動は生起しにくくなる、というものだ。正しい選択肢に進む行動が強められているのだから、回し車で走ることは快、つまり嬉しいというわけだ。
この実験では、さらに20日間、回し車の場所を逆にした訓練もしている(前ページ図2-4の中央のデータ線)。選択地点ではこれまでと反対側に進まないと回し車に出会えないので最初は偶然水準の50%を下回っているが、すぐに新しい方向に進むことをラットは学習した。そしてまた左右を逆転して20日間訓練した。その結果が図2-4の右のデータ線である。元の訓練と同じためか、最初から偶然水準の50%を上回っていて、訓練を続けるとよりよい成績をおさめるようになった。
ネズミの学習実験で、迷路と同じくらいよく用いられる装置は米国の心理学者B・F・スキナー博士(1904~1990)が開発したスキナー箱である。ラット用スキナー箱は、縦・横・高さがそれぞれ25cm程度の四角い箱で、金属やアクリル樹脂でできており、正面にレバーが1~2個取り付けられている。
このレバーを押せば、報酬が出てくるしくみになっていて、ラットはレバー押し行動を学習する。報酬はふつう餌粒で、行動を強める作用をもつため「強化子」とも呼ばれる。
さて、ここで餌粒の代わりに「回し車での走行」を強化子として、レバー押し行動に与えたらどうなるだろう。この実験で用いられたのは図2-5のような装置で、レバーを押すと回し車を止めてあるブレーキが一定時間(数十秒間)外れるしくみだ。
同書より転載 拡大画像表示
「回し車での走行」を
強化子にした実験
その時間が経つと再びブレーキがかかるので、ラットはまたレバーを押さなくてはならない。こうした状況におかれたラットは、レバー押し行動を学習する。空腹のときに与えられる餌粒ほどの効果はないが、レバー押しを一定頻度で行うくらいには訓練できる。







