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回し車をひたすら走るネズミは、いったい何を感じているのか。楽しさなのか、それとも別の感情なのか。この問いに対し、さまざまな研究結果が積み重ねられてきた。超音波による「喜びの声」や学習実験など、さまざまな手法からネズミの内面に迫る。※本稿は、動物心理学者の中島定彦『ネズミはなぜ回し車で走るのか』(岩波書店)の一部を抜粋・編集したものです。
回し車で走るネズミは
楽しんでいるのか?
回し車で走るネズミは一生懸命だ。シャカリキになって駆けている。走るのが楽しいのだろうか?飼育ケージは、野生での生息域に比べるとはるかに狭い。いつも狭いところで暮らしているから、運動不足で、体を動かすのが楽しいのかもしれない。さらに、回し車特有の身体感覚も楽しさを増幅していそうだ。
人間は嬉しいと喜びの声をあげる。「わぁーい」とか、「うひょひょー」とか、「いぇーい」とかだ。ラットの歓喜の叫びは50kHzという超音波である。仲間との社会的遊びや交尾のとき、食事時、そして嗜好性薬物を投与されたときにも、50kHzの高さの声をあげる。腹部をくすぐったり、背中を優しくなでてもこの声を発する。50kHz音声は中脳辺縁系でのドーパミンやノルアドレナリン放出との関連が指摘されている。50kHz発声は「喜びの声」なのである。
ちなみに、他のネズミ類の「喜びの声」はラットに比べて研究が少ないが、交尾時発声はマウスで70kHz、ジャンガリアンハムスターで71kHz、ゴールデンハムスターで35kHz、ハタネズミで31kHzである。







