グラスを持って歓談する若い男女写真はイメージです Photo:PIXTA

同窓会と聞くと、懐かしさや楽しさを思い浮かべる人も多いだろう。しかし実際には、「なんとなく気まずかった」「もう会いたくない人がいる」と感じた経験はないだろうか。久しぶりの再会の場では、喜びや安心感だけでなく、比較や戸惑い、過去の記憶など、さまざまな感情が入り混じる。こうした場で人間関係の明暗を分けるのが、「感情リテラシー」だ。大人にこそ求められるこの力の正体とは何か。※本稿は、心理学者の渡辺弥生『怒っている子どもはほんとうは悲しい 「感情リテラシー」をはぐくむ』(光文社)の一部を抜粋・編集したものです。

感情リテラシーとは
相手の気持ちを想像する力

 私自身の子ども時代の体験で、今でもよく覚えている出来事があります。

 ある日、関東から引っ越してきた子が、転校生として小学校にやってきました。私は関西在住でした。その子が教室で何かを落としたとき、「○○が落っこっちゃった!」と口にしたのです。

 その瞬間、周囲にいた、関西弁しか知らないクラスメートたちは、思わず「うわぁっ!」と一斉に声を上げました。

 もちろん、それは差別的なものではありません。ただ、耳慣れないイントネーションやアクセントの違いに対する、率直な驚きのリアクションだったのだと思います。

 けれども、今になって振り返ると、あの「うわぁっ!」という反応が、その子にとっては少なからずショックだったかもしれません。自分が普段どおりに話しただけなのに、突然注目を浴びたり、場の空気がざわついたりすることは、子どもにとっては大きな不安や不快感につながることがあります。

「違い」に出会ったとき、私たちはつい、驚きの感情を表に出してしまいがちです。

 でも、そのときに、「相手はどう感じているだろう?」と一瞬立ち止まって想像できる力こそが、感情リテラシーの1つなのだと、今では感じています。