私自身も、つい先週、何十年ぶりかに、学生時代の仲間7人全員がそろったランチ会に参加しました。当時、南紀白浜へ旅行した話になり、こんな会話が交わされました。

「みんなで出かけたよね」

「えっ、私、行ってないよ?」

「いや、行ったって!」

「覚えてないんだけど……」

「写真にもたしか写ってたよ!」

「えー、なんで行くことになったんだっけ?」

 それぞれの記憶は曖昧で、バラバラ。でも誰も「正解」にこだわることなく、「楽しかったんだからいいか」と、笑い合えたその空気に、心がほぐれました。

 同じ時代に出会い、いろいろなことを体験し、それぞれ頑張って、今を生きている。そんな仲間たちと、美味しいものを食べながら再会できたこと。その「ご縁」に、自然と感謝の気持ちが湧いてきました。

同窓会は各々の感情リテラシーが
試される場でもある

 最近では、私自身、たとえ同窓生でなくても、「同じ時代を生きた人」というだけで、どこか敬意や共感が湧いてくるようになりました。

「一緒に乗り越えてきたね」「ここまできたね」という気持ちを持てること――それもまた、大切にしたい“感情”の1つです。「記憶していること」を共有しあう体験も、感情リテラシーを育てることになるのでしょうか?

 まとめてみると、同窓会は、かつての友人や知人と再会する特別な機会であり、懐かしさや喜びだけでなく、緊張や戸惑いといった複雑な感情が交錯する場でもあると考えられます。

 こうした場面において大切になるのが、「感情リテラシー」だと思うのです。

 感情リテラシーが高い人は、自分の感情を受けとめると同時に、相手の表情や態度から、その人の気持ちを推察し、思いやりのある対応をとることができます。

 特に、過去の関係にまつわる思い出や、未解決の感情に再び向き合う場面では、みんなが「よかったよねー」といった雰囲気に収まるように、円滑な人間関係の再構築に向けてムードメーカーになれるのです。

 つまり、同窓会は、単なる再会の場ではなく、感情を通じたつながりを再発見し、人間関係を豊かにするための、絶好の機会といえましょう。

 ところが、感情リテラシーの低い人が同席すると、再会の場だけでなく、昔の思い出まで、台無しにしてしまうことがあります。

 そうすると、もう同窓会には来たくないということになってしまいますね。初めからそれを予想して、参加しない人も少なくないと想像しています。