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「休職中なのに元気そうに見える...」。SNS上の印象と実際の状態のギャップをめぐり、「新型うつ」という言葉が広まった。 この問題は、どのように語られてきたのだろうか?※本稿は、加藤忠史『「心の病」がみえる脳科学講義』(翔泳社)の一部を抜粋・編集したものです。本書では、社会的な誤解やラベルの背景を整理しながら、うつ病の多様なあり方とその理解の難しさを解説しています。
メディアが生んだ造語
「新型うつ」騒動の正体とは
ここで、「うつ」という言葉をめぐる混乱について触れておきましょう。
「抑うつ状態」と「うつ病」は本来まったく別の概念です。しかし、この2つはしばしば混同されがちです。
例えば、医師が「抑うつ状態」であることを伝えるために、気軽に「ちょっと軽い『うつ』ですね」などと言ったことで、患者さんは「自分はうつ病なんだ」と受け止めてしまう。こうしたすれ違いは珍しくありません。「うつ」という言葉自体が、一般にはとても曖昧な意味で使われてしまっているのです。だからこそ、本来は軽々しく口にすべき言葉ではないのです。
そんな背景の中で大きな騒動になったのが、「新型うつ」でした。2012年、NHKスペシャルで『職場を襲う“新型うつ”』という特集が放送され、一気に社会的な話題となりました。残念なことに、その番組がきっかけで「うつ病」に対する誤解が広がってしまったのです。
まず押さえておきたいのは、「新型うつ」という病名は精神科の診断には存在しない、ということです。医学用語ではなく、定義もない。要はメディアが生み出した造語にすぎません。
では、この言葉はどこから出てきたのか。







