Aぇ!佐野晶哉、メガネ姿で登場!金田一耕助みたいな「くしゃくしゃ髪」に胸がザワつく〈風、薫る第11回〉

りん、「不思議の国」に紛れ込む

 卯三郎のお店・瑞穂屋のコンセプトをNHK広報さんに聞いたところ「不思議の国のアリス」のイメージだそうだ。

「文明開化し古今東西の文化が入り混じった東京を表すワンダーランドです。卯三郎自身はワンダーランドにりんを導く不思議の国のアリスのウサギをイメージし、お店のロゴや看板にウサギのモチーフを取り入れています。

 台本上にあった店の前の『謎のオブジェ』も、このコンセプトをもとにウサギの人形にしました。瑞穂屋でも『光』『風』『水』の表現を意識していて、上から光が射す高窓、奥まで風が吹き抜ける通り土間、店を入って右奥にある坪庭には小さな池を作ったりしています。

 店を入った左奥には、少し階段を下りて入っていくような卯三郎の社長室があり、ウサギの巣穴をイメージしています。

 さらに社長室の一番奥には蔵扉があり、まだまだお宝商品が眠っている設定で、卯三郎の底知れなさ、謎めいたキャラを表現しています」

 卯三郎の卯からウサギが出てきたのだろう。大きなウサギの人形はインパクトがあった。

「瑞穂屋でも『光』『風』『水』の表現を意識していて」というのは、りんたちが学ぶ看護師養成所で教えられるナイチンゲール式の看護学にある『自然の力』という根本的な考え方に基づいたもの。

 水、風、日の光――こうした自然の力を生かして人間が本来持っている自然治癒力を高めるというのがナイチンゲール看護学の基礎で、ドラマ全体にその考えが意識されているという。タイトル『風、薫る』もそこからとられているのだ。

 りんは瑞穂屋で働くことになる。名前があいまいでも(離縁するつもりで出てきているから嫁ぎ先の名字をりんはもう使いたくない)卯三郎は気にしない。りんの中身を見ているのだ。給金は月3円。『ばけばけ』のウメの給金(旅館)が90銭だから、いいほうである。さすが東京。ちなみに料理の本は1円、フランスの小説は3円。フランスの小説1冊とりんの給料が同じ値段。

 りんと卯三郎のやりとりで面白かったのは、「ふつつか者ですが末永くよろしくお願い致します」と挨拶(あいさつ)して、店員の柳川文(内田慈)に「末永く?」と驚かれること。文は卯三郎とりんが結婚するのかと勘違いしたのだろう。

 だが卯三郎は「酒癖がよく、女子教育にも理解のある男はあいにくすぐには見つからなくて」とりあえず、うちのお店で働いてみたらどうかと持ちかけたのだった。