『風、薫る』第13回より 写真提供:NHK
今日の朝ドラ見た? 日常の話題のひとつに最適な朝ドラ(連続テレビ小説)に関する著書を2冊上梓し、毎日レビューを続けて12年目の著者による「読んだらもっと朝ドラが見たくなる」「誰かと話したくなる」連載です。本日は、第13回(2026年4月15日放送)の「風、薫る」レビューです。(ライター 木俣 冬)
イケメンという役割もある
レッドカーペットが敷かれた階段を上がっていく直美(上坂樹里)。舞踏会用の華麗な音楽が鳴っている。
今日から鹿鳴館で働くのだ。胸の高鳴りと共に主題歌がはじまる。あけるとそこは――。
瑞穂屋。
鹿鳴館のエピソードはお預けで、りん(見上愛)のパートがはじまる。こうも頻繁にりんと直美のパートが入れ替わるのは最適解なのだろうか。
店ではりんが客・槇村太一(林裕太)と揉めている。勧めた本の値段が高いと槇村は言う。2冊で1円80銭。
あなたの提示した金額通りに買えば、僕はbankruptcy、破産だと英語を使う槇村。
「bankruptcy」。りんは鸚鵡(おうむ)返しする。『ばけばけ』のトキよりは英語のヒアリング力がありそうだ。
そこへ、シマケンこと島田健次郎(佐野晶哉)がやって来る。そうか、瑞穂屋に場面が変わったのはイケメンを早く登場させたいという作り手の狙いにちがいない。だが、第13回はもうひとりイケメンが登場する。それはあとのお楽しみにとっておくとして、シマケンとりんのやりとりを見ていこう。
槇村とシマケンは知り合い。りんは上下巻を1冊ずつ買って、読んで交換するのはどうかと提案してみる。
りんはまだ肩書にこだわっていて、ふたりを「書生?」とかシマケンを「質屋さん?」とか聞く。「お得意さん」いや、「買わないお得意さん」という肩書に落ち着いた。
シマケンは1冊分、買うことにする。「おまえに金を出させるとはりんさんやるなあ」と槇村が感心するが、どうやら、何者か根掘り葉掘り聞かれるのが面倒で誤魔化(ごまか)すために買ったようだ。
なぜ隠すとたずねる槇村に「俺が何者でもないのは事実だからな」と言うシマケン。この人、いったい何にこだわっているのだろう。ミステリアスなところもイケメンとしての役割を十分果たしている。イケメン、これもひとつの役割である。







