
直美、鹿鳴館デビュー
場面変わって鹿鳴館だが、ここではこのまま、りんの話を見ていこう。
働き始めてしばらくたって、りんははじめての給料をもらう。
環(宮島るか)とおいしいものを買いに行くが、おいしそうな野菜は量が多くて、使い切れそうにない。
「女だてらに働いているのか」と八百屋が言うと風がびゅーっと吹く。いわゆる世間の冷たい風という感じで、
周囲も「大変ね」「かわいそうに」と同情の目を向けてくる。「教師」だったら女性が働いていても問題ない時代。やっぱり、役割によって人間が分けられている。
りんは買わずに帰る。野菜はないけど、おにぎりにすることにした。環はそれでもうれしそう。
さて。ここからは直美パート。鹿鳴館デビュー(給仕ではあるが)のために歩く練習をしている直美。
そうこうしているともうお客様がやってくる時間に。直美のように素性のわからない、作法もとくに習ってきていない人物が付け焼き刃でこんな上級の社交場にすぐ出られるなんて、というのは物語だからであろうか。
カーテンが開いて外国人のカップルが続々入ってくる。そして中央でダンスがはじまる。
直美は見とれていると、最後に捨松(多部未華子)が巌(高嶋政宏、「高」の表記は、正確には「はしごだか」)と入ってきて、ひときわ華やかなカップルの姿にみんなが注目する。
「やっぱり違いますわねえ」と女性給仕たちは憧れの眼差しを向ける。
この給仕仲間。ひとりは父が警察官、ひとりは兄が外務省勤務で、そのコネで働くことができた。
直美は、父の親戚と捨松とのご縁でとその場を取り繕った。だが、そのあと、外国人がホットチョコレートを求めてきたら、直美は誰よりも英語が堪能で役立った。捨松は見る目がある。家柄のいいお嬢さんよりも捨て子の直美が生活のなかで身につけた英語が役立ったのだ。いい話である。







