・ダイキン工業:2024年4月1日より定年年齢を65歳に引き上げ、定年延長とあわせて年齢で一律的に賃金が下がることのない仕組みへ変更。60歳以降の昇格や昇給も可能。

・住友化学:2024年4月から段階的に定年を65歳に延長する。年収は90~95%程度に維持。

 パーソル総合研究所の調査では、定年が65歳未満の企業の38.7%が「定年を65歳まで延長する予定」と回答しています。定年が65歳未満の企業は約7割なので65歳定年の企業が3割ほど増え、すでに定年が65歳以上の企業と合わせると6割近くに達します。

「わからない」としている企業が約4割あるため、さらに増えそうです。今後、定年は65歳以上が主流になります。

 ただし、定年が70歳になるかというと、定年70歳未満の企業の約半数は「定年を70歳まで延長する予定はない」としており、延長予定の企業は14.1%です。すでに定年が71歳以上の企業2.4%と合わせても16.5%と、2割に届きません。こちらも、「わからない」という企業が約4割ありますが、60歳定年の企業が一気に70歳まで延長するとは考えにくい面があるため、70歳定年の企業が今より増えるにしても、まだまだ時間がかかりそうです。

働く個人の観点からは
65歳定年が望ましい

「定年が延びると収入面では助かるという気持ちはあるけれど、70歳まで働かなきゃいけないのか、という気持ちもあるよね。家族も定年まで働くことを期待するだろうから。本当はそろそろ釣り三昧の生活を送りたいんだけどね」

 その気持ち、筆者にもわかります。もちろん、定年前に辞めても構わないわけですが、何となく「定年までは働くべきだ」という固定観念のようなものがないとは言えません。

 筆者は、年金支給開始年齢が65歳であり、65歳までの継続勤務が義務化されている以上、定年は65歳が望ましいと考えています。少なくとも、働く個人の側から見ると、実質的に65歳までは50代の延長であるにもかかわらず、60歳からの再雇用は65歳定年と比べて余計な不安と不信が大きくなるだけで、何もメリットがありません。

 企業側からすると、再雇用のほうが人件費をコントロールしやすいわけですが、そればかりに目を奪われ、60代社員の能力・経験の活用が疎かになるようでは本末転倒です。