投資理論の観点で
「直美」を評価した結果

「直美的キャリア」はMCM(編集部注/著者が提唱する人生の投資理論。マルチ・キャピタル・マネジメント[複数資本の戦略的運用])の5つのメンタルモデルに照らした場合、どう評価できるのでしょうか?

 以下、1つずつ見ていきます。

(1)分散

「収入」という金融資本には恵まれている反面、それ以外の資本、たとえば人的資本(医師としてのスキル)や社会関係資本(医療業界での信頼)は弱いまま放置されてしまうのではないでしょうか。

 もし、金融資本だけがいびつに膨らむのであれば、複数資本の分散にはなっていません。

(2)長期

「この仕事で10年後も食べていけるか」「市場が飽和した時、自分に次の選択肢があるか」といったことを一切考えずに働いているなら、それは長期的視野に立っているとは言えません。

 仮に、毎月100万円の報酬を得られても、スキルや信頼が蓄積されないなら、それは「年収という名のスポット収入」に過ぎません。

(3)積立

「直美」は「最短距離で、最大効率で」という短期思考が先に立ちすぎているように見えます。「今のうちに稼いで、美容業界が斜陽になったら転職」と思っているとしても、それは「タイミング投資の誘惑」。株価の高低を予測し、「今が買い/今が売り」と売買をくり返す行為に近いです。うまくいく場合もありますが、同じ確率で失敗することもあります。

(4)コアサテライト

 健康資本・金融資本といった「土台」は整っており、心身を壊すほどの無理をしていないのであれば、それは評価できる点。「サステナブル」であるのはいいことです。他の資本に投資する余裕が生まれやすい、という点では「直美」はよい選択かもしれません。

(5)リバランス

 余裕がある生活を送っている人は、振り返る時間も多いでしょう。「今、自分に足りて
 いない資本は何か?」「このままでは危うい資本はあるか?」と立ち止まって振り返って
 いるなら、「直美」は大きな問題にはなりません。