特徴的なパッケージデザインで知られる「ミルクコーヒー」 Photo by M.F.
しかし、そうした需要に飽き足らず、UCCはあえて「甘くない」ブラックコーヒーへの挑戦を繰り返していた。
1987年、UCCは業界初の無糖コーヒー製品「UCCテイスティブラック」を発売。しかし市場の反応は鈍く、翌1988年には「UCCザ・コーヒー ブルーナイルモカ ブラック無糖」へと切り替え、「無糖」のアイコンを前面に打ち出す試みを重ねた。
だが、大きな定着には至らなかった。やはり甘さがなければ消費者は手を伸ばさない。
それでも、なぜUCCはブラックにこだわり続けたのか。UCC上島珈琲マーケティング本部飲料マーケティング部の紙谷雄志部長はこう語る。
「コーヒー専業メーカーとして、ブラックコーヒーで勝負したいという創業以来の思いがありました。ミルク入りが主流だった市場の中で、それでもブラックをおいしく届けたいという信念が強かったようです」
その情熱がUCCを前に突き動かした。
コンビニオーナーの鶴の一声で
風向きが変わった
UCC BLACK無糖が1994年に誕生した背景には、一人の社外の人間の執念もあった。
UCCが前身商品のUCCザ・コーヒー ブルーナイルモカをコンビニ向けに全国展開しようとしたとき、POSデータ(販売時点管理データ)の数字は振るわなかった。コンビニ本部の商品担当者(MD)からは「やはり他社が強い。時期尚早では」と判断され、全国推奨の取り消し通知が届いた。
ところが、長野県のあるコンビニ加盟店オーナーからの要望が事態を大きく動かした。
「常連のタクシー運転手たちが、週に10本は缶コーヒーを買うけれど、1~2本は健康を気にして無糖を選んでいると言っている。うちの店舗だけでも特別発注で仕入れたいので在庫を残しておいてほしい」







